「データの“ツナミ”は永遠に」--アイログ、ユーザーカンファレンス開催

田中好伸(編集部) 2007年08月07日 01時57分

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 「Web 2.0やRFID、イベント駆動型システムなどによって、データの“ツナミ”は永遠に続くだろう。そしてコンピュータの処理能力の増大によって、企業のビジネスプロセスにおける決定過程は次第にコンピュータに置き換わっていくだろう」――。

 ILOGは8月6日、アジア太平洋地域で初となるユーザーカンファレンス「ILOG User Conference 2007」を開催。イベント初日、同社最高経営責任者(CEO)のPierre Haren氏はこう語り、同社製品が利用される機会が増えてくると見込んでいる。

 ILOGの現在の主力製品は、大きく分けて3つに分かれる。一つめが、ビジネスルール管理システム(Business Rule Management System:BRMS)、二つめが最適化意思決定管理システム(Optimization Decision Management System:ODMS)、そして三つめが企業内のビジネス情報の監視・管理を目的にした、GUIを開発するためのエンタープライズレベルの可視化ツールキットだ。現在、同社の製品別の売上構成比は「BRMSが45%、ODMSが35%」(Haren氏)となっており、今回のイベントでも、BRMSとODMSにそれぞれ焦点を当てた講演の2本立てとなっている。

Pierre Haren氏 「企業のより良い決定をより早くできるように支援したい」と語るHaren氏

 BRMSが対象とするビジネスルールとは、たとえば「もし40%以上のディスカウントが必要ならば、営業部長の決済とする」などといったように、「もし〜ならば、〜をする」という企業のビジネスポリシーのチェック項目になる。このビジネスルールの集合体がビジネスポリシーであり、BRMSは、企業内の複数の個別のシステムに組み込まれているビジネスポリシーを一元管理できるという大きな特徴を持っている。

 BRMSはビジネスプロセスにかかわる情報システムだが、ビジネスプロセスというと、最近では「ビジネスプロセス管理(Business Process Management)」が注目されている。しかし、BRMSとBPMは対立するものではなく、むしろ相互補完的関係にあると言えるだろう。

 BPMアプリケーションには、即応性が高くカスタマイズを容易にするためにBRMSが不可欠と考えることができる。つまりBRMSを活用すればビジネスポリシーをアプリケーションから切り離して管理できるようになり、こうすることで、BPMアプリでビジネスポリシーを変更する際には、これまでのようにソフトウェアをコーディングしなくてもすむようになるからだ。

 もう一方のODMSは、数理計画法(MP)や制約プログラミング(CP)などの解析技術を利用して、業務効率を最適化し、コスト削減や変化するビジネス環境への対応能力の向上をサポートするというものだ。具体的には、トラックなどの経路・搬送スケジューリング、生産計画・スケジューリングなどを支援することができる。

 ILOGでは、こうした機能を持ったソフトを提供しており、同社CEOのHaren氏は、同社のミッションは「顧客企業がより良い決断をより早くできるように、そしてビジネスの変化や複雑性を管理できるように支援することにある」とイベントの基調講演で主張している。

BRMSを再利用

Andrew G. Black氏 BRMSを「価値のあること」と評価するBlack氏

 イベントでは、同社製品のユーザー企業による導入事例の説明も行われていた。日本からも数社がイベントに参加しているが、アイエヌジー生命保険でアプリケーション開発本部でチーフアーキテクトを務めるAndrew G. Black氏が、自社での導入事例について説明している。

 Black氏は今の生保業界について「売上高を伸ばすことや競合に勝つことなどに加えて、確実に業務をこなし、顧客を満足させ、販売代理店との有効な関係を築き、そして当局の規制に対応していく必要がある。各社はこうした問題を解決していかなければならない」と説明している。

 そうした問題意識を抱えているアイエヌジー生命保険は、アイログのBRMSを導入。アイエヌジー生命保険の場合、レガシーシステムからオープン系への置き換えの一環でBRMSを導入した。その中で、レガシーに組み込んでいたビジネスルールを管理するシステムをBRMSとして切り離している。これにより、BRMSは、どんなアプリケーションからでも使える状態になっている。

 Black氏はBRMSとして独立させたことについて「とても価値のあることだ」とその効果を認めている。ビジネスルールをBRMSとして扱えるようにすることで、BRMSをほかのシステムと接続すれば、BRMSを何度でも再利用できるようになるからだ。

 BRMSの価値を認めるBlack氏は、自社での経験からBRMSが扱う対象となるビジネスルールに関するいくつかの“原則”を明らかにしている。

 「ルールは簡潔に書かれ、作られるべきである。もちろん技術的な言語ではなく、分かりやすい言語で表現される必要がある。また、プロセスやワークフローから独立して存在していなければならない。さらに、ビジネスルールは管理されるべきものであり、単一のソースである方がいいだろう」(Black氏)

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