OSSを活用した基幹系システム構築の裏側を探る--第3回:「OSSミドルウェアサポートサービス」 - (page 2)

鶴田展之(qnote)

2007-11-07 18:20

OSSベンダーと緊密に連携するサポート体制

 社外で開発されたソフトウェア、しかもこれだけ多数のOSSについて保守サポートサービスを提供できる背景には、豊富なシステム構築経験から得たLinux/OSSのノウハウはもちろんのこと、各OSSに深く関わっているベンダー、ユーザコミュニティとの緊密な連携がある。

 エンドユーザからカスタマーサポートセンターに寄せられる障害情報や問い合わせに対し、NEC OSSプラットフォーム開発本部では、LinuxディストリビュータやOSSベンダー、開発コミュニティの協力を得て、情報交換を行いながら原因調査を行っている。プログラムの修正はOSSベンダーやコミュニティからの提供により、エンドユーザはさらに信頼性の高いOSSを利用できるようになる。

 ベンダー、コミュニティとエンドユーザの仲介者としてOSSエコシステムを形成するという、NECのオープンソース戦略の根本的な思想は、このサポート体制の在り方にも明確に現れているのである。

サポート体制の図

サポート体制の図

運用を支援する機能補完製品群

 エンドユーザがOSSをより安心して活用できるようにするための取り組みは、保守サポートのような「サービス」に限るものではない。同社のエンタープライズOSSソリューションには、OSSの機能を補完し、商用ミドルと同レベルの運用性を実現するためのソフトウェア製品も含まれている。OSSデータベースの機能を拡充する「InfoFrame DB Maintenance」や稼動状況を監視する「InfoFrame DB Monitor」、Java業務アプリケーション運用基盤としてJBossに対応した「MCOne」がそれだ。

 DB MaintenanceはPostgreSQLを対象とするメンテナンス製品であり、高速データロード、データベース診断、データサルベージ等を実現する。特に高速なデータロードは一般にPostgreSQLが苦手とする部分であり、障害時の迅速なリカバリーには欠かせない機能だ。DB MonitorはPostgreSQL、MySQLの稼動状況を監視し、高負荷や障害の発生を検出してアラートを発信する。データベースサーバの障害はシステム全体に影響するため、エンタープライズ・システムにおけるデータベースの監視は重要である。

 MCOneは、J2EE分散アプリケーション環境において、業務アプリケーションの一括配布及びオンメモリトレースを提供する。無停止でアプリケーションを更新でき、また、ほとんど性能劣化の無い障害解析を可能にする。

まとめ

 NECのソリューションは、OSSのオープンなメリットを享受しながら、一方で問い合わせ窓口を一本化できる。これは、システム運用の最も理想的なひとつの形と言えるだろう。

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