アップルを意識するソニー:中期経営計画からビジネスモデルの相似を読む

大河原克行 2008年06月26日 21時37分

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ソニー、いよいよ成長戦略へ

 ソニーは6月26日、2010年度を最終年度とする中期経営計画を発表した。

 2005年度から開始した中期経営計画では未達だった連結営業利益率5%(2007年度実績で4.2%)を、「業界をリードし、イノベーションを続けるためのベースライン」と位置づける一方、新たに2010年度までにROE(株主資本利益率)10%を達成する目標を掲げた。さらに、半導体・コンポーネント分野に対する3年間に8000億円の設備投資を含む、3年間1兆8000億円の投資計画を発表。重点ビジネス、技術領域への集中投資を打ち出して見せた。

 また、売上高1兆円を超えている、液晶テレビ、デジタルイメージング、ゲーム、携帯電話の4事業に加えて、PC、ブルーレイディスクおよび関連商品、半導体・コンポーネントの3事業を1兆円規模へと拡大させる計画を示したほか、BRICs市場においては、現在の倍増となる売上高2兆円へと拡大させる姿勢を示した。

 2005年度の中期経営計画では、不採算事業の削減、製造拠点の統廃合、人員削減、コスト削減、資産売却など後ろ向きの「選択と集中」に焦点が当たっていたことに比べると、今回の中期経営計画は成長戦略へと大きく舵を切っていることがわかる。

課題はやはり薄型テレビとゲーム

 だが、課題となっている薄型テレビ事業の黒字化、ゲーム事業の黒字化は、早急に解決しなくてはならないテーマだ。いずれも2008度中の黒字化を目指しているが、2010年度における具体的な数値などが明らかになっておらず、財務面から見て柱になりうる規模の黒字化を見込んでいるのかどうか不透明な点が気になる。

 液晶テレビでは、機能性フィルム、LEDバックライト、専用LSIなどの「差異化できるデバイスの内製化」のほか、シャーシ数の削減や設計リードタイムの短縮、サプライチェーンの強化などによる「コスト削減」、シャープおよび韓国のSamsungと設立したジョイントベンチャーからの競争力のあるパネル「調達」といった取り組みによって、コアビジネスに相応しい体制構築と、グローバルナンバーワンの獲得を目指す。しかし、売り上げ計画や出荷台数計画などには言及しないままだったのは迫力に欠けるといわざるを得ない。

 だが、その一方で、今回の中期計画において注目しておきたいポイントがある。

ソニーとアップルのビジネスモデルが酷似する日

 それは、2010年度までに製品カテゴリーの90%をネットワーク機能内蔵およびワイヤレス対応にすると発表したことだ。

 この第1弾として、2008年夏にはPLAYSTATION Network(PSN)上でPlayStation向けにビデオ配信サービスを開始する。さらに仮想世界「PlayStation Home」のほか、ゲーム内動画広告の配信、必要な情報を瞬時に得られるなど生活に密着した情報提供サービスとなるLife with PlayStationを開始すると発表した。

 加えて、今年11月には米国においてWill Smith主演の「ハンコック」を、DVD発売に先駆けてインターネットに接続したBRAVIAへ配信するサービスを開始する。

 ソニー 社長兼エレクトロニクスCEOの中鉢良治氏は、こうしたサービスを皮切りに「一貫性があるネットワークサービスを、ソニーのすべての製品に展開する」と述べている。

ソニー 社長兼エレクトロニクスCEO 中鉢良治氏 ソニー 社長兼エレクトロニクスCEO 中鉢良治氏

 このビジネスモデルはAppleがiPodで実現したビジネスモデルに酷似している。

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