損保ジャパンとアフラックが取り組む「タイムリーな知識共有」が生み出した価値 - (page 3)

富永康信(ロビンソン)

2010-03-29 16:00

代理店ポータルの改善にアフラックが使ったカギは「検索」

 もうひとつの事例は、B2Bサイトの効率的な活用を目指し、情報洪水に悩む代理店をサポートするために検索エンジンを導入したアフラックのケースだ。

 1974年に日本初のがん保険を発売し、2004年に個人保険・個人年金保険合計の保有契約件数が業界第1位となったアフラックは、2009年10月末時点で保有契約件数が2000万件を超えた。

 同社は“アソシエイツ”(仲間)と呼ばれる代理店を約2万店有しているが、自社で営業職員を抱えていないため、すべての商品はこのアソシエイツを経由した販売となる。そこで、アソシエイツ専用のウェブシステム「AANET」を構築し、各種の情報伝達を行っている。

 AANETの機能は大きく2つある。1つは営業活動支援。保険料の見積機能やニーズに応じた申込書作成機能、販売マニュアルなどを提供する。

 2つ目が顧客の契約管理だ。リアルタイムに顧客の契約内容を確認するシステムや各種帳票印刷システム、保全マニュアルなど、数多くのメニューが用意されている。

 インターネットの普及拡大にともなって、2000年からスタートしたAANETは、当初主要5コンテンツのみを掲載するサイトとして利用が開始されたが、その後コンテンツが次第に充実し、利用する代理店数も急増。現在ではウェブを通じて50以上もあるコンテンツを提供している。

情報が見つけられずコールセンターへの問い合わせが増加

建部友美氏 「AANET検索エンジンには電話による問い合わせ削減と、マニュアルへのナビゲートの目的があった」と語るアフラックの建部友美氏

 「AANETは代理店業務に不可欠なシステムとなったが、特に知識、経験の少ない新規の代理店にとっては分かりづらい構造になってしまった」と語るのは、アフラックのシステム開発部で開発3課の主任を務める建部友美氏だ。建部氏は2006年にアフラックに入社後、一貫してAANETの構築に携わってきたが、サイトの複雑化はさまざまな課題をもたらしたという。

 度重なる法改正で帳票改訂が繰り返されたことでどれが最新の文書か分からない、AANETのトップページから探したい情報が見つけづらい、目的の情報にたどり着くまでの手順が多すぎる、などのユーザーからの声が寄せられた。

 その結果、アフラックの支社やITヘルプデスクへの問い合わせが増加し、アソシエイツとアフラック双方の業務負荷が高くなっていた。

 そこで建部氏は、「AANETに検索エンジンを導入することで、支社・ヘルプデスクの負担軽減とマニュアルへのナビゲート、各Notes DBを横串検索することによる関連情報へのアクセスを実現し、業務効率化を図ろうと考えた」という。

 検索エンジンにはアクセラテクノロジの「Accela BizSearch」を採用した。採用にあたっては、アフラック社内用のNotes検索システム「アヒルック」のエンジンにすでに同製品が採用されていたことに加え、AANETにログインする認証経路の違いによって相対パスでの出力が可能である点も重視されたという。導入プロジェクトは2008年8月にスタートし、ユーザー部門でのパイロット運用、マニュアルの見直しを経て、2009年1月にカットオーバーした。

詳細検索機能は省いて画面はシンプルに

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