クラウド導入の決定と行動経済学--あらゆるバイアスを乗り越えるために - (page 2)

文:James Urquhart(Special to CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル

2010-08-04 07:00

 Hyperstratusの最高経営責任者(CEO)のBernard Golden氏も、評価の高いクラウド関連ブロガーだ。Golden氏もこの議論に加わっており、ITマネージャーに対して、そうしたバイアスを認識し、適切である場合は必ずクラウドを採用するよう熱心に訴えている

 確かに、公表されているケーススタディや事例は、クラウドコンピューティングをインフラストラクチャイニシアチブの基盤として積極的に考慮すべきだとしているようだ。しかし多くの場合に出会うのは、さまざまな実世界での成果に対して経済学者が示す、ジョークとしか見なせないような態度だ。「確かに現実ではうまくいくが、理論的にうまくいくだろうか」

 筆者はどちらかといえば、Weinman氏とGolden氏の両方に賛成だ。しかしこの話題には、パブリッククラウド導入の決定という以上の意味がある。両氏は実際、人間性の側面を考えなければパブリッククラウドの導入の方が簡単だという理由を論証する一方で、唯一の不合理な点は、その展開モデルを受け入れることにあるという印象を残している。実際のところ、専用システムやハイブリッドシステムのアプローチを取る方が合理的な場合には、パブリッククラウドサービスの導入は同程度に不合理かもしれない。

 Weinman氏が最初のクラウドノミクスの記事に記した計算に注目してほしい。同氏は、専用システムとオンデマンドユーティリティとで、あるアプリケーションを何パーセントずつ稼働させるべきかを決める公式を記載している。つまり、あるアプリケーションの少なくとも何パーセントかを、専用システムで稼働させるべき場合があるということだ。

 クラウド導入について多くの人が抱く警戒感は、ある程度は不合理なバイアスが原因であることは間違いない。しかし、パブリッククラウドのコンセプトに最も肩入れしている人々もまた、専用システムが最も合理的である場合には、それを所有あるいは賃借するという正しい判断を避けないよう、注意すべきだ(成功しているインターネット企業の何社かは、すでにこのことに気づいている。ほかの企業は、すでにこの数式で、専用環境での運用の方が自社にとって合理的になるのはいつごろかを特定している)。

 全体としてみれば、Weinman氏のクラウドノミクスの研究は画期的なものだ。Weinman氏は、7月にサンフランシスコで開催のStructure 2010で、この話題についてのパネルディスカッションに登場した。筆者もStructure 2010に参加した。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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