イノベーションの起こる場所
しかし、イノベーションがベンチャーのみから起こる訳ではないとは、基調講演にて磯崎氏の指摘したことである。つまり、イノベーションはベンチャーでも起こるし、大手企業でも起こる。
ただ、それぞれの事業体にはその本源的な特性に大きな違いがあり、それぞれが金融イノベーションにおいて果たせる役割を認識することで、金融サービスの活性化が起きる。この点は、三菱東京UFJ銀行の柴田氏、AQUSHの大前氏、TechCrunchの西田氏によるパネルディスカッションでも面白い議論が展開された。
ベンチャー企業にはより生活者に近い発想力や新しいテクノロジを取り込む貪欲さがある一方で、信用力も無ければ資金力も無い。金融機関はそのベンチャーの特性をうまく認識した上で、そのサービス革新に外部のサービスを取り込んで行くことで、より斬新なサービスを生活者へ届けることが出来る可能性がある。
今回のカンファレンスがそうしたイノベーションの連鎖のきっかけになればと思っている。私自身、今回のカンファレンスを通じて、金融サービスがまだまだ面白くなると確信した一人である。
ご参加、ご協力頂いた皆様に改めて御礼を申し上げたい。また、来年も必ずやFIBC2013を開催したいと思っている。
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飯田哲夫(Tetsuo Iida)
電通国際情報サービスにてビジネス企画を担当。1992年、東京大学文学部仏文科卒業後、不確かな世界を求めてIT業界へ。金融機関向けのITソリューションの開発・企画を担当。その後ロンドン勤務を経て、マンチェスター・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。知る人ぞ知る現代美術の老舗、美学校にも在籍していた。報われることのない釣り師。