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リテール金融イノベーションの新しい形

飯田哲夫 (電通国際情報サービス)

2011-04-05 08:00

 米国のベンチャー投資も2010年は、多少持ち直したようである。以下のグラフは、National Venture Capital Association(NVCA)のデータに基づく米国におけるベンチャー投資額の推移である。2008年から2009年に掛けて落ち込んだ投資額が、2010年に持ち直しているのが分かる。

 ただ、2010年のおよそ220億ドルの投資のうち、金融系ベンチャーへ投下されたのはわずか2.4%、5億ドル程度に過ぎない。これは、ソフトウェア(18%)やバイオ(17%)などと比べると、イノベーションへの期待度が低いということだろうか?

図

金融サービスのイノベーション

 日々の生活に密着するサービスであること、また一生涯に渡って受けるサービスであることから、金融サービスの重要性は非常に高い。特に高齢化社会を迎えるにあたっては、質の高い金融サービスの必要性は更に高まっている。

 従って、本来的には金融サービスのイノベーションへの期待度は高いはずである。しかし、その中核を担う銀行業は強い規制の下に運営されており、通常のベンチャー企業の資金では参入が叶わない。

 そうした規制業種に対しても積極果敢に挑戦するベンチャー企業はある。その多くは、なかなかサービスレベルが向上しない金融業に対してイノベーションを起こすことを目指している。

 その挑戦のパターンには二つある。一つは、既存の金融ビジネスの一部分をテクノロジの力を活用して切り取っていく方法。もう一つは、既存の金融ビジネスの周縁部分において補完的なサービスを提供する方法である。

挑戦の二つのパターン

 前者は、例えばソーシャルレンディングや決済サービスが該当する。ソーシャルレンディングは、投資家と借り手をネットで結びつけることで、投資家にはより高い利回りを提供し、借り手にはより低い金利での貸し出しを実現する。

 欧米では、ProsperZOPA。日本においてもmaneoAQUSHが先陣を切り、最近SBIグループも参入して認知度が高まりつつある。決済は、PayPalやWesternUnionなどが小口決済においてより利便性の高いサービスを提供している。日本においても外国送金で新規参入が続いていることは前回紹介した通りである。

 後者は、mintのようなオンライン家計簿サービスであったり、金融商品の比較サービスなどが該当する。ただ、こうした金融ビジネスを補完するサービスの中に、より既存の金融ビジネスと密接に連携しつつ、イノベーションを実現する事例が出始めている。

銀行と提携して新しいエクスペリエンスを提供する

 例えば、SmartyPigというサービスは、預金口座についてはCompass Bankという銀行と提携しながらも、その外側にFacebookなどを活用した貯蓄サービスを提供している。

 SmartyPigで口座を開設すると、利用者は貯蓄の目的と目標額を設定する。それをFacebookなどで公開して、親戚や知人からの寄付を受けたり、SmartyPigのプリペイドカードの利用に応じてキャッシュバックを受け取ることができる。

 更に、目標を達成すると提携リテーラーのディスカウントを受けることができるなど、通常の銀行口座では実現できない様々な付帯サービスが提供される。しかし、口座そのものは提携先の銀行で安全に管理されている。

 BankSimpleというベンチャーも新しいバンキングサービスを提供することを目指して準備中であるが、この企業も自らが銀行という訳ではない。創業資金として、およそ300万ドルを調達したものの、それだけでは到底銀行は設立できないのである。BankSimpleは現在、提携先の銀行との交渉を詰めているところであり、バックエンドは銀行のサービスを利用するのである。

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