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大黒屋からも国際送金--150年のコミュニケーションの歴史を生き抜く会社

飯田哲夫 (電通国際情報サービス)

2011-11-08 08:00

 2011年10月24日は、米国で大陸横断の電報網が完成して150周年なのだそうだ。そして、そのほぼ全期間に渡って電報のビジネスを営み、2006年にイグジットしたのが、日本でもセブン銀行などと海外送金サービスを提供するウエスタンユニオンである。

 このウエスタンユニオンという会社が凄いのは、その会社の歴史がコミュニケーションテクノロジの歴史そのものである事である。1860年代の北米大陸の電報網の敷設に始まり、大陸間通信へと進出する。そして、1970年代には衛星通信網を確立すると共に、インターネットの原型となったARPANETにネットワークを提供している。

 しかしながら、そこからウエスタンユニオンはビジネスモデルの大転換を遂げ、通信ネットワークに関わる膨大な資産を売却し、その通信ネットワーク上で展開する送金サービスに特化した会社となる。そして、2006年に電報ビジネスから完全撤退するのである。ちなみに、ウエスタンユニオンの送金サービスが始まったのは1871年である。そして現在、世界200カ国に40万のエージェントを有するグローバルな国際送金業者としてビジネスを拡大しつつある。

 面白いのは、150年の歴史を有する企業でありながら、送金サービスの分野においては、むしろイノベーターとして位置付けられることである。国際送金とは、銀行が担ってきたビジネス領域であって、送金元の国にある送金者の銀行口座から、送金先の国にある受取人の銀行口座へと、SWIFTというグローバルな金融ネットワークを通じて指示が送られる。そこには複数の銀行が関与するケースであれば、事務処理に数日を要するのが普通である。

 しかし、ウェスタンユニオンは、自らが代理店網を組織化しているが故に、送金が実行されてから相手が受け取ることが出来るまでに10分しか掛からない。更に、銀行の口座を保有しない移民や出稼ぎ労働者のニーズを捉え、銀行口座を持っていなくても送金を可能としている。また、手数料が送金金額によって変動するから、出稼ぎ労働者の求める少額多頻度の送金ニーズにマッチしているのである。

 コモディティ化するインフラを捨てて、サービスのレイヤを一つ上げるというプロセスは、決して容易ではなかったようである。業績の低迷と投資家による改革という段階を経て成し遂げたものである。そんな会社を使った送金がどこからできるか? 冒頭に挙げたセブン銀行に加え、最近ではチケットショップの大黒屋からも出来るようである。150年の歴史を持つネットワークの会社と大黒屋、長く生きるということは、ビジネスモデルの革新を成し遂げているということと同義なのであろう。

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飯田哲夫(Tetsuo Iida)

電通国際情報サービスにてビジネス企画を担当。1992年、東京大学文学部仏文科卒業後、不確かな世界を求めてIT業界へ。金融機関向けのITソリューションの開発・企画を担当。その後ロンドン勤務を経て、マンチェスター・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。知る人ぞ知る現代美術の老舗、美学校にも在籍していた。報われることのない釣り師。

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