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記事まとめDL:オンライン確認「eKYC」

消費者目線の決済サービス

飯田哲夫(電通国際情報サービス)

2009-07-28 12:00

 eBay傘下の決済サービス会社であるPayPalが、新しい決済プラットフォームの開発者向けAPIを公開するという。ベータ版での適用は、すでにTwitterでの支払いを可能にするTwitpayMicrosoftのクラウド環境であるAzureなどで行われているという。

 PayPalは、日本ではそれほどメジャーではないものの、オンラインの決済手段として欧米ではかなり利用されている。そうした中、今回のアナウンスの面白いところは、決済用のAPIを開発者向けに公開するということだろう。

オンライン決済の仕組み

 オンラインで購入した場合の決済サービスの選択枝自体はすでにかなり広がっている。カード決済、インターネットバンキング、電子マネー、ATM、代金引換などなど。しかし、裏で個別の決済ネットワークと接続していくには相応のコストが掛かり、それ故に決済代行企業がそれらを引き受けるような仕組みになっていることが多い。

 それに対し、今回のPayPalの面白いところは、決済プラットフォームへのAPIを第三者へ公開しようというところだろう。これによって決済プラットフォームへの接続コストが安くなるのであれば、消費者もeコマース業者も決済に関わるコストを抑えることが可能となる。折りしも今年の6月には資金決済法が成立し、日本でも銀行以外の事業法人による為替業務参入が可能となる。

決済サービスのイノベーション

 そもそも決済サービスのイノベーションは、最近は非金融セクターから起きることが多かった。たとえば電子マネーにしても、金融セクターよりも、鉄道系、通信系、流通系といった非金融セクターが利用拡大の起爆剤となっている。また、ポイントプログラムを企業の独自通貨と見なすならば、企業を中心とした独自の通貨流通体系が形作られているとも言える。

 とはいえ、これらの非金融セクターによるオンライン決済の金額や電子マネーの流通量は決済システム全体からみれば微々たるものだ。たとえば、今年7月に日銀が発表した資料によると、電子マネーの発行残高は現金通貨発行残高の0.11%で「決済システムや金融システム全体に大きな影響を与えるには至っていない」と断じている。

決済サービスの行方

 確かに、法人取引も含めた決済システム全体からみると、小口決済サービスが銀行から一般事業法人に多少移ろうが、現金が電子マネーに置き換わろうが大したインパクトはないだろう。ただ、消費者の視点から見ると、オンライン決済が頻繁に発生する分、百円単位の送金手数料の違いがとても気になるのである。

 そうした中、ここまでの小口化、高頻度化を想定していなかったが故に、堅牢かつ高いサービスレベルの銀行間決済システムに対し、小口・高頻度を前提としたサービスレベルは低いが低コストの決済サービスの登場は待ち望まれるところである。もちろん、決済サービスにおいて決済そのものの確実性が落ちて良いというものではない。

 しかし、Twitterで決済というのは、まさにこれからの決済サービスの行方を示しているようで面白い。

筆者紹介

飯田哲夫(Tetsuo Iida)
電通国際情報サービスにてビジネス企画を担当。1992年、東京大学文学部仏文科卒業後、不確かな世界を求めてIT業界へ。金融機関向けのITソリューションの開発・企画を担当。その後ロンドン勤務を経て、マンチェスター・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。知る人ぞ知る現代美術の老舗、美学校にも在籍していた。報われることのない釣り師。
※この連載に関するご意見、ご感想は zblog_iida@japan.cnet.com までお寄せ下さい。

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