--マーケティングオートメーションを導入するのはどの部門なのか。
Fernandez氏 IT部門よりも、ビジネス部門が多いです。事業部門は、例えば営業の部署であれば、Saleceforce.comのようなSaaS提供企業からソフトウェアを購入し、出張業務管理ならば、Concurの製品を活用すれば、IT部門の手を借りなくても、自分たちので力で実装することが可能であり、業務効率化ができるようになっています。米国では昨今、ユーザーを中心に位置づける「ユーザーセントリックIT」という発想が拡大しつつあるという認識です。つまり、クラウドソフトウェアのビジネスユーザーに対して、最高情報責任者(CIO)はもう少し、協力的な立場を取らなければならないでしょう。
マルケト代表取締役社長 福田康隆氏
--IT部門は何を担うべきか。
Fernandez氏 従来はIT部門がマーケティングをサポートすることはほとんどなかったといえます。一方、マーケティング部門は従来、クリエイティブの仕事を担い、例えば、電通のような広告代理店などに外注することが一般的でした。ところがここ数年、ITとマーケティングの両部門は、従来は見られなかったような連携をするようになり、互いのことを理解しようとの機運が出てきています。
マーケティングがプライバシーあるいはセキュリティなど、顧客に関わるデータを多く収集するようになっています。IT側としては、そのような過程に関わり、組織として適正なガバナンスを確保するようにしなければならないわけで、両部門の連携がますます密になることが求められます。
米国でも、マーケティング部門との橋渡しをしようとの意欲をもったCIOも出てきています。今やマーケティング部門こそが、企業内で新しいソフトウェア購入のための予算を最も多く有するという可能性から、彼らの意識が変わってきているようです。
--各事業部門の動向は、日米でどう異なるか。
Fernandez氏 米国では、マーケティング部門が勝手に、自分たちの好むソフトを購入するであろうと想定するCIOやIT部門もでてきました。IT部門では自分たちの権限が奪われるのではとの観点から、そのような流れを食い止めようとの動きもみられます。
CEOたちはこの4年間ほどで、この両者の関係が著しく変化したことを認識しています。クラウドのソフトウェアが重要性を増していることが影響していますが、米国に遅れること2年、欧州でも似通った傾向がみられます。日本でも同じような波にさらされるでしょう。これは世界的な潮流です。
一方、技術の導入を、事業部門が支援する動きがみられます。セキュリティを確保し、ソフトをできる限り有効に生かすことができるよう努めようと、事業、技術の両部門が緊密な協力体制を組む事例を目にするようになりました。
IT部門は最近では、ERPについて、財務部門のサポートをしています。マーケティングソフトウェアも、もはや勢いが止まらないと思います。IT側では、マーケティングや会社の成長を支えるための組織作りを心掛けているような状況であり、経営企画や営業部、マーケティング部などの各部門に、いかにビジネスに効率の良いアプリケーションを導入するかを現場で考える担当者が入るようになったケースもあります。