デジタル化で顧客からの要求速度は増すばかり--DevOpsはお金を稼ぐための手段だ

田中好伸 (編集部) 2015年02月18日 08時21分

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 開発と運用が連携する「DevOps」が注目されている。2009年に米国で開催されたイベントで、画像をネットで共有するサービス「Flickr」のエンジニアが発言したことで認識されるようになっている。そのエンジニアは「開発と運用が協力することで1日に10回以上のペースでリリースが可能になった」という旨を明らかにしている。

 2009年以降DevOpsを中心にした議論が展開されるようになり、日本でも過去2~3年議論されるようになっている。なぜDevOpsは注目されるのだろうか。

「より速く、より安く」

 ガートナー ジャパンでITオペレーション領域を担当するリサーチ ディレクターの長嶋裕里香氏は、DevOpsの本質をこう説明する。

 「より速く、より安く、より顧客満足度を高め、より良いサービスを提供し続けるため」

 そうした目的から、1年に1回の大きなリリースではなく、小さな単位で機能やサービスをリリースしていき、エンドユーザーに使ってもらい、そのフィードバックを得てから機能やサービスを改善していくというサイクルをとにかく早く回す――。こうした取り組みがDevOpsでは求められる。

 「そのサイクルを早めるには人海戦術では対応できない」。DevOpsは「開発と運用のサービスデリバリの新しいアプローチ。特に人や文化の変革をも伴うものである」(長嶋氏)

 システム全体の迅速化という点ではアジャイル開発が普及しつつある。ITRの甲元宏明氏は「アジャイル開発は運用という視点が抜けている。アジャイル開発よりも運用の領域に目が向けられているのがDevOps」という言葉で説明する。

経済のデジタル化という現実

 企業での情報システムは、統合基幹業務システム(ERP)やサプライチェーン管理システム(SCM)などがあり、こうした業務を回すために必要不可欠なシステムは基幹系とされ、IT部門の管轄とされるケースが多い。

 一方で、企業を取り巻くITの状況はこの10年で大きく様変わりしてきている。ウェブで提供されるサービスは日常のものとなっている。電子商取引(EC)サイトでの購入は一般的となり、2007年の「iPhone」登場以降スマートフォンは当たり前のツールになっている。さらに、SNSなどのソーシャル系テクノロジで自由にコミュニケーションできるようになっている。社会生活にITは必須のものになっている。いわゆる“経済のデジタル化”が進んでいる。

 経済産業省の統計によると、2013年の日本の消費者向けEC市場規模は前年比17.4%増の11兆1160億円。2008年が6兆890億円であり、5年でほぼ倍増したことになる。それでも、2013年の消費者向けの小売業やサービス業でのEC化率は3.7%となっている。2008~2013年の成長率は10~20%と高いことから、今後もデジタル化の動きは着実に進むと見ることができる。

 経済産業省の統計は企業間のEC市場も対象としている。ネット技術のTCP/IPプロトコルベースでの成約金額は、2013年で186兆3040億円(EC化率は17.9%)、TCP/IPプロトコル以外のものを含めた成約金額は269兆3750億円(EC化率は25.9%)となっている。成長率は消費者向けほどではないが、EC化率を見れば、企業間取引でもデジタル化が進んでいることが分かる。

 もちろん、企業としても経済のデジタル化に対応して営業やマーケティングなどのIT化を進めている。2010年に経済誌『The Economist』がビッグデータの特集を掲載してから、企業ITではデータウェアハウス(DWH)やビジネスインテリジェンス(BI)といった、比較的狭い領域で重要視されていたデータに潜む価値が一般的に認識されるようになっている。これが現在のビッグデータやソーシャルマーケティング、マーケティングオートメーションにつながる流れであると表現できる。

 経済がデジタル化する前は、顧客との接点は営業やマーケティングといった部門、あるいは卸売業や小売業など人間の手を介するものだった。だが、経済がデジタル化しつつある現在、顧客とのタッチポイントは依然として人間の手を介するところもあるが、ウェブやモバイル、ソーシャルといった領域も無視できなくなりつつある。

 こうした状況から企業ITに求められるものも変わらざるを得なくなっている。

 大雑把に表現すると、ERPやSCMなどの情報システムは、製品やサービスを“買ってから”を処理するものだが、“いかに買ってもらうか、その顧客をいかにつなぎとめられるか”も企業ITに求められるようになっていると言い表せる。

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