デジタル化は大企業の復権をもたらす--アクセンチュアの最新レポートに見る“創造的破壊者”へのヒント

齋藤公二 (インサイト) 2014年05月19日 13時24分

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 アクセンチュアがテクノロジのトレンドをまとめた年次レポートの最新版「Accenture Technology Vision 2014」のテーマは2013年に続き「デジタル化」。すべてのビジネスがデジタルに移行する時代にあって、どのようにして“創造的破壊者(Digital Disrupter)”になるべきかを先進企業の事例などから説き起こしている。

 発表に先立って、アクセンチュア代表取締役副社長の関戸亮司氏が1月に行った組織改革を説明した。アクセンチュアは2013年12月グローバルで「デジタルコンサルティング本部」を設立。eコマースとデジタルマーケティング、モビリティ、アナリティクスの各事業領域を担当していた約2万3000人の専門スタッフを同本部に集結させた。

関戸亮司氏
アクセンチュア 代表取締役副社長 デジタルコンサルティング本部 兼 テクノロジコンサルティング本部統括本部長 関戸亮司氏

 「すべてのビジネスがデジタル化する中でデジタルに特化した組織を立ち上げた。ソリューション開発だけでなく、業界ごとでのデジタル化への対応を強化する必要があるとの考えが背景にある」(関戸氏)

 これまでのアクセンチュアの組織は金融や通信、流通、公共、エネルギーなど業種に特化した5つの「オペレーティンググループ」と、戦略コンサルティグ本部、テノクロジコンサルティング本部、ビジネスプロセスアウトソーシング本部という業種横断的な3つの「グロースプラットフォーム」で構成していた。

 デジタルコンサルティング本部は、戦略コンサルティング本部に属していた「アクセンチュアインタラクティブ」と、テクノロジコンサルティング本部に属していた「モビリティ」「アナリティクス」の3部門を統合して構成。これにより、グロースプラットフォームは4本部の構成になった。

 国内でもこうしたグローバルでの布陣に合わせるように1月にデジタルコンサルティング本部を新設。関戸氏を統括本部長とし、同本部オペレーションリードの立花良範氏が最高執行責任者(COO)的な立場で指揮する体制とした。

 配下には、立花氏がトップのアクセンチュアインタラクティブ、工藤卓哉氏がトップのアクセンチュアアナリティクス、丹羽雅彦氏がトップのアクセンチュアモビリティを置く。「デジタル本部のミッションは、デジタル戦略の立案、テクノロジ導入、デジタルを活用した業務プロセス運用、データアナリティクスだ」(関戸氏)

あらゆる企業がデジタル化の恩恵を受ける時代

 立花氏はTechnology Visionに触れ、デジタル時代の特徴として「デジタル化の進展は大企業の復権をもたらす」と指摘した。これは、デジタル化は当初はGoogleやAmazonといったテクノロジ企業が牽引していたが、サービスを展開する“市場”がリアルビジネスを侵食するようになり、あらゆる企業がデジタル化の恩恵を受けるステージに入ったことが背景にある。

立花良範氏
アクセンチュア デジタルコンサルティング本部 マネジング・ディレクター 立花良範氏

 「大企業は自社の持つ膨大な顧客ベースや設備などビジネス資産の新しい価値に気付き始めた。テクノロジとこれらのビジネス資産を組み合わせ、新しい価値を創造できれば、大企業が復権を遂げる」(立花氏)

 アクセンチュアでは、デジタル化による破壊的な変化により、2022年までに14兆4000億ドルの経済効果が生み出されると試算する。レポートでは、創造的破壊者として、デジタル化時代にそうした新しい価値を創造できる企業の動向や価値創造のヒントを提示する。具体的には、デジタル化にまつわる6つのトレンドに沿って説明した。6つのトレンドとは、以下だ。

トレンド1=デジタルとリアルの融合:インテリジェンスをリアルとの境界へ拡張(Digital-physical Blur: Extending intelligence to the edge)

 デジタル情報がリアルの世界を補完し新しい価値を生むようになった。事例としては、患者のセンサからバイタル情報などをリアルタイムに取得して手術前、手術中、手術後の診察に役立てる医療機関など。アクセンチュアではPhilips Healthcareと協力して「Google Glass」などを使った検証を進めているという。Googleによる自動走行車試験や、渋滞情報をシェアできるソーシャルアプリ「Waze」、さまざまなシーンで適用が始まった3Dプリンタなどもデジタルとリアルの融合の例だ。

トレンド2=ワークフォースからクラウドソースへ:ボーダーレスエンタープライズの出現(From Workforce to Crowdsource: Rise of the borderless enterprise)

 人を含め社外リソースの活用がカギになってきた。事例としては、プログラマーギルドよるハイスキル人材を発掘する組織「TopCoder」、留守中の部屋を宿泊所として旅行者に提供するためのプラットフォーム「Airbnb」、社内ハッカソンをオープンイノベーションにつなげているYahoo! Japan、クラウドファンディングの「CAMPFIRE」などを挙げた。

トレンド3=データサプライチェーン:循環する「情報」(Data Supply Chain: Putting information into circulation)

 外部のデータと連携することで新しい価値が生まれる。事例としては、中小eコマース向け資金融資会社Kabbageが運送会社UPSと協力して、運送データを融資の判断に活用しているケースを紹介した。APIデータで提供を受けた物流トランザクションデータから、融資先の商品出荷状況を把握し、融資の判断精度を向上させている。

 Verizonは、9400万件以上の顧客情報とモバイル端末の測定情報を分析し、マーケティング情報として事業者などに販売するサービスを展開。その情報をさらに自社ビジネスの展開にも役立てているという。Facebookでは、すべての写真に対するトラフィックを分析。アクセスの多い写真とアクセスの少ない写真を、階層化したストレージで効率よく管理していることを紹介した。

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