CA Technologiesは11月29日、東京でイベント「CA Expo '13 Japan」を開催、同社の最新技術や製品の動向、事例などを紹介した。テーマは「破壊的な技術の進化をチャンスに変える Go big. IT with impact」。基調講演には「デジタル革命を担う 破壊的イノベーションをチャンスに変える」を表題に、アジア太平洋と日本を担当するプレジデントのLionel Lim氏がITの変化とその影響、潮流の転換点を成功に結びつけるには何をなすべきかなどについて論じた。
デバイスが不動産?
現在、ITの世界では60秒の間に700Tバイトのデータが流れており、そのうち70%は個人的なものであり、30%が公的なものだ。200万通のメールが飛び交い、Facebookには50万件の投稿が寄せられ、Googleでは200万件が検索され、App Storeからは4万7000本のアプリがダウンロードされている。
CA Technologies アジア太平洋日本担当プレジデント Lionel Lim氏
60秒というわずかな時間に起こるのはこれだけではない。「アジア太平洋と日本だけでも、SNSアクティブユーザーは7億7000万、中国の百度では300万件が検索され、楽天では300万円を売り上げる。極めて短い時間にこれだけのトラフィックがある。状況は刻々と変化しているのだから、企業は一層走るスピードを高めなければならない」
35年間ITの仕事に携わっているLim氏が驚嘆していることがあるという。「一つのデバイスがあたかも不動産に匹敵するような存在になったことなどこれまでにはなかった。企業は消費者にサービスを提供するが、それらは、データセンターから直接エンドユーザーに提供できるようになった。消費者は、実際に店舗に足を運ばなくてもオンラインで買い物ができる」
デバイスが不動産物件のような意味合いを持つようになったというわけだ。その背景には「デバイスが“pervasive(広がる、しみ通る)”になっていることがある」。Nielsenの調査によれば、2014年までに知識労働者1人平均3.3個のデバイスを所持し、41本のアプリを保有するようになるという。
Lim氏は「このような状況の下では、彼らと企業との接点は減ってしまうことになる。企業は最も高額な不動産物件になぞらえられるような場の上でどう競合し、しのいでいけるかという問題に直面している」と指摘する。
新しいモバイルアプリは2年で25種類が投入されるという。月1本以上は出る計算になる。ITに従事する組織にとって「このような高速度は、大変な問題になる。しかも、これらのデバイスのユーザーは品質に対しての要求の水準が高い。これも一つの課題だ」
PCのアクティブユーザーは全世界で1億人以上いる。今ではモノのインターネット(Internet of Things:IoT)が提唱される時代の最中にあり、「接続すべきと考えられる要素はすべてつながるようになる。2000億台ものデバイスが接続されるようになると、もはや新しい段階に入る。従来存在しなかったサービスが2020年くらいまでには具現化される」とLim氏は見通した。
「私は日本産牛肉のステーキが好物だが、牛にどこで誰がどんな飼料を与え、どう育成し出荷しているのか、どのくらいの時間をかけて、自分の目の前に来ているのかなどを知りたいと思うことがある。すでにアジアでは複数の例があるが、対価が高くても畜産農家から直接食品を買うということが受け入れられている。既存の流通網やスーパーマーケット経由では時間がかかり、その分鮮度が落ちているかもしれないという理由もある。今後、デジタル革命はさらに加速する。ITがより重要になってくる。ここでビジネスに目を向けると、この流れの影響を受けない事業などないということが現実」
アジア太平洋が新たな成長の先導役に
アジア太平洋地域では大きな転換があったとLim氏は指摘した。
「この地域はこれまで、産業では低コストであることだけがメリットとみられてきた。最近ではコスト面だけが特徴ではなくなったようだ。この地域が新たな成長の軸になろうとしている」と指摘するLim氏は以下のように続けた。