Gartnerは同日、10の戦略的テクノロジトレンド「Gartner Identifies the Top 10 Strategic Technology Trends for 2016」を発表した。
- The Device Mesh(デバイスのメッシュ化)
- Ambient User Experience(アンビエントユーザー体験)
- 3D Printing Materials(3Dプリンティング製品)
- Information of Everything(あらゆるモノの情報化)
- Advanced Machine Learning(先進的な機械学習)
- Autonomous Agents and Things(自律的なエージェントとモノ)
- Adaptive Security Architecture(適応するセキュリティアーキテクチャ)
- Advanced System Architecture(先進的なシステムアーキテクチャー)
- Mesh App and Service Architecture(メッシュアプリケーションとサービスアーキテクチャー)
- Internet of Things Platforms(IoTプラットフォーム)
これらの中で、スマートマシンと関連性が高いのが、「Advanced Machine Learning(先進的な機械学習)」と、「Autonomous Agents and Things(自律的なエージェントとモノ)」だ。
「Advanced Machine Learning(先進的な機械学習)」は、機械学習の一つである深層学習である「ディープ・ニューラル・ネットワーク(DNNs)」を指している。DNNsの詳細な解説はここでは省略するが、DNNsを採用することで、スマートマシンはよりインテリジェント化し、環境に適応して自ら学習するようになり、採用した企業は競争優位に立つとしている。
「Autonomous Agents and Things(自律的なエージェントとモノ)」では、スマートマシンに機械学習が実装されることにより、自律的に動作するロボットや自動運転車、仮想パーソナルアシスタント、スマートアドバイザーなどが進化する点があげられている。
ハードウェア型のスマートマシンのほうが、実際に実物を確認できることから関心は集めやすいものの、ソフトウェアベースのスマートマシンのほうが、短期的により広範囲に影響を与えることができるという。
ソフトウェアベースのスマートマシンが相互に連携・協調が進むようになれば、自動運転車による渋滞の緩和などの都市計画の最適化や、災害時において複数のドローンやロボットなどによる自律的なチームプレイでの連携や協調、支援が期待できる。広範囲で公共性の高い分野においても活用が進むようになるだろう。
スマートマシンを活用し、企業の競争力を高める
今回のGartnerの予測は、2018年前後となるこの数年を予測したものが中心となっており、スマートマシンの活用は、10年後や20年後の世界ではない。
企業は、数年後を見据えたビジネス展開や情報システムの構築を検討する際には、スマートマシンの採用を優先的に検討する「スマートマシンファースト」を進め、市場における競争力を高める手段の一つとして活用することが重要となっていくだろう。
- 林 雅之
- 国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)。NTTコミュニケーションズで、事業計画、外資系企業や公共機関の営業、市場開発などの業務を担当。政府のクラウドおよび情報通信政策関連案件の担当を経て、2011年6月よりクラウドサービスの開発企画、マーケティング、広報・宣伝に従事。一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) アドバイザー。著書の最新作は「スマートマシン 機械が考える時代」。