海外コメンタリー

世界のスマートシティ--より快適に、安全にIoTで進化する都市の取り組み - (page 3)

Teena Hammond (TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2015-12-26 06:30

 GE Lightingは、米国のカリフォルニア州サンディエゴとフロリダ州ジャクソンビルで、スマートLED街灯の実証実験を進めている。「どちらの実証実験も中心街で行っているため、町の中心部が対象となっている。各都市には約50個のインテリジェントLEDが取り付けられており、これで約10ブロックをカバーしている」とAshe氏は述べている。

 「街灯は地面から20~30フィート(約6~9m)という一定の高さに設置されているため、HDカメラを取り付けるには適している。これらの実証実験では、『LEDを取り付けるのではなく、ずっと多くのことができるスマートLEDを取り付けた方がいいのではないか』という疑問に答えようとしている。スマートLEDにはセンサが組み込まれており、業務用ネットワークに接続できる。これを使えば、これまでなかった都市の情報を収集することができ、この情報があれば、新しいアプリケーションの作成を始められる。AndroidデバイスやiPhoneにアプリをダウンロードするように、駐車場などの住民が抱える問題の解決に役立つアプリをダウンロードできるようになる」とAshe氏は言う。

 Silver Spring Networksのスマートシティ担当バイスプレジデントであるBrandon Davito氏によれば、フロリダ州南部の電力会社Florida Power & Lightは、世界最大規模となる50万個のスマート街灯を設置する計画を持っており、すでに7万5000個は設置済みだという。

 「街灯の制御は進歩しており、新たな種類のアプリケーションとサービスを提供できることは大きな変化だ。これは、さまざまなスマートシティアプリケーションのスタート地点としては非常に適している。街灯ネットワークを管理し、カメラとモーション検知センサを追加するだけでも大きな一歩になる」とDavito氏は言う。

 「今、多くの大きな潮流が1つに合流しつつある。接続にかかるコストは劇的に下がっている。エッジに知性を持たせる能力は劇的に向上しつつあり、住民はより多くを望んでいる。住民は大きなパワーを持ち、指先一つでモバイルデバイスを使ってデータにアクセスできる」とDavito氏は述べている。

 Silver Spring Networksは、サンアントニオのエネルギー会社と共同で、電力メーターだけでなく、広域のスマートグリッドに街灯やガスメーター、水道メーターをもつなぐスマートインフラプロジェクトに取り組んでいる。

 サンアントニオ市の最高情報責任者(CIO)兼最高技術責任者(CTO)であるHugh Miller氏は、同市では渋滞が問題になっていたため、信号機をつないで効率的に交通量を管理する仕組みを作ったが、これだけでも年間数億ドル相当のエネルギー消費と時間の節約になっていると話す。

 スマートシティの機能は、雨でも役に立つ。サンアントニオ市では、長い乾期の後に初めて雨が降ると、路上の油分やその他の化学物質が活性化し、自動車事故が増加する。Miller氏によれば、同市はLED街灯に通信モジュールを追加し、そのような条件に合う暴風雨が発生すると、遠隔から街灯の明かりを増やし、ドライバーが道路をはっきり視認できるようにすることで、事故を最小限に抑えようとしているという。

 犯罪多発エリアやその他の理由で、必要に応じて街灯のオン・オフを制御できる機能は、スマートシティグリッドを持つ利点の1つだと同氏は述べている。

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