デジタルバリューシフト

デジタルで変わる都市の姿−−IoT/IoEによる都市経済のバリューシフト

林大介

2015-06-08 07:00

 連載第10回は、前回より複雑なIoT/IoEのモデルについて論じたい。デジタルテクノロジで大きく変化する都市の姿、一般的には「スマートシティ」などと呼ばれているが、Internet of Things(IoT)やInternet of Everything(IoE)によるバリューシフトで都市はどんな様相を呈するであろうか。

ドクとマーティがやってきた2015年

 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」......映画ファンならずとも誰もが一度は耳にしたことがあるタイトルだろう。この映画の2作目で主人公は30年後の未来にタイムスリップするのであるが、それが本年--2015年である。残念ながらまだ車は宙に浮いていないし、自動で乾く服も普及していないが、われわれは毎日この著名な映画にすら登場しなかった、とある素晴らしいテクノロジの恩恵を受けている。それはもちろん、インターネットとスマートデバイスだ。昨今ではスマートデバイスがどんどん小型化し、ネットワークに接続される「モノ」の数が着々と増え続けている。

 シスコシステムズが毎年発表する調査資料「VNI(Visual Networking Index)」によると、2014年グローバル全体でモバイル接続されたM2Mモジュールが約5億個あり、5年後の2019年にはその6倍以上(32億個)になるという。また、スマートフォンが生み出すトラフィックはこの5年で10倍になり、毎月18.2エクサバイトものデータを発生させる見込みだ。もはや単位が大きすぎて想像しにくい規模に達しているが、どれだけデータを持っていてもそれを活用できなければ当然バリューシフトは発生しない。

 われわれは約30年前に空想したテクノロジの世界とは異なる、通信と情報の社会を手に入れた。ではこの情報化社会においての都市は、一体どのようにバリューシフトしていくのだろうか。

IoE的に都市を解釈する

 シスコシステムズはIoT(Internet of Things)の上位概念であるIoE(Internet of Everything)という概念を掲げている(図1)が、その構成要素は(1)ヒト、(2)モノ、(3)データ、(4)プロセスの4つである。ヒトやモノが都市にあふれているように、データやプロセスも都市にあふれている。


図1:IoE(Internet of Everything)の4要素

 例えば、警視庁のこのページには地域毎にあらゆる犯罪の発生頻度がデータとして公開されているし、各自治体によるゴミ出しのルールに始まる資源リサイクルはプロセスそのものである。

 デジタルテクノロジによる都市のバリューシフトを考える場合、このつかみ所のないデータの「るつぼ」から価値創造の種を見つける必要があり、この点で他の業界のバリューシフトに比べて複雑なモデルになりがちだ。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. クラウドコンピューティング

    生成 AI の真価を引き出すアプリケーション戦略--ユースケースから導くアプローチ

  2. セキュリティ

    セキュリティ担当者に贈る、従業員のリテラシーが測れる「情報セキュリティ理解度チェックテスト」

  3. セキュリティ

    マンガで解説、「WAF」活用が脆弱性への応急処置に効果的である理由とは?

  4. セキュリティ

    クラウドネイティブ開発の要”API”--調査に見る「懸念されるリスク」と「セキュリティ対応策」

  5. セキュリティ

    5分で学ぶCIEMの基礎--なぜ今CIEM(クラウドインフラストラクチャ権限管理)が必要なのか?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]