海外コメンタリー

デジタル化による破壊的変革とエンタープライズアーキテクトの役割 - (page 2)

Joe McKendrick (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2016-08-01 06:00

 Ross氏は、最近The Open Groupのサイトに投稿された、EAの最新の進化に対する見方を論じた記事の中で、InformaticaのチーフプラットフォームエバンジェリストであるMyles Suer氏のインタビューを受けている。同氏は、統合されたチャネルとシームレスなエンドツーエンドのトランザクションを持つ理想的なデジタル企業は、「当然アーキテクチャを備えているはずだ」と述べている。

 デジタル企業とは、一連のテクノロジプラットフォームやテクノロジ戦略を活用する企業だ。これには、クラウド、モバイル、ソーシャル、アナリティクス、IoT(モノのインターネット)などが含まれる。成功するアプローチの中核には、顧客の関与とデジタル化されたソリューションがある。

 Ross氏は興味深い意見を述べている。既存の市場に大きな混乱を生み出している有力なスタートアップは、1つのことに非常に長けている。UberやAirbnbなどがその好例だ。一方で古くからある企業は、多くのことをうまく行う能力に長けている。重要なのは、すべてが統合された形で上手に行うことで、これは古くからある企業にしかできない。Ross氏はインタビューで、「競争上の優位性は、他企業が持っていたり持っていなかったりする能力を、並外れて強力な何かを生み出す形で統合することによって得られる」と述べている。「ビジネスの能力を統合することで、他企業が真似ることが難しい顧客価値が生み出される」

 これには、企業のテクノロジ資産と、それらが全体像にどう当てはまるかを総体的に捉えることが必要になる。それに加え、企業は顧客の求めるものに敏感でなくてはならない。エンタープライズアーキテクトは、これまでにないほど刺激的な役割になっている。企業がエンタープライズアーキテクトをこれほど必要としているのも初めてのことだ。

 Jason Bloomberg氏もこのテーマを取り上げ、エンタープライズアーキテクトに企業内のチェンジエージェントとして変革を主導するように求めている。変革の成果として求められるのは、もちろんより応答性の高いデジタル化だ。エンタープライズアーキテクトはこれまでもその役割を意識してきたはずだが、デジタル化による破壊的変革の存在が、その緊急性を大きく高めている。「異なるアプローチを必要とするさまざまな変化が起こっており、エンタープライズアーキテクトは企業のさらなる敏捷性の追求において中心的な役割を演じなくてはならない。複雑な、複数の側面を持つ問題を分解して適切なソリューションを適用することこそが、エンタープライズアーキテクトの力の中核だ」

 Ross氏とBloomberg氏の主張はどちらも、企業はデジタル経済の到来に脅威を感じており、一歩進んでテクノロジを活用する方法を示してくれるリーダーを求めているという点で一致している。これは当然、エンタープライズアーキテクトが果たすべき役割だ。

 (情報開示:筆者は本記事で言及したInformaticaに寄稿している)。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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