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「2017年は日本でもブロックチェーンの実用例を見る年に」--テックビューロ - (page 4)

山田竜司 (編集部) 飯田樹

2017-04-27 07:00

 --以前は「トークンエコノミー 」の未来を展望していたが、現時点では。

 ブロックチェーンというのは、中に入っている数字を信用する必要があります。ビットコインを勝手に増やせたら破綻するのと同じで、ブロックチェーン上の資産は勝手に増やせません。トークン(価値を記録し、モノやサービスと交換され流通する代用貨幣)の仕組みで面白いのは、デジタルの商品に希少性を持たせられるところです。そうやって希少性を持たせたい資産がどんどんブロックチェーン上に乗ってくることをトークンエコノミーと言っています。トークンエコノミーができれば、証券化のようにトークンを使って資金を集めて上場するようなプロジェクトが山ほど出てくるはずです。


「デジタル資産の革命」

 仮想通貨は今、詐欺まがいのものを除けば、ビットコインを入れても3兆円くらいの規模です。今後、トークンを使うと、ブロックチェーンにない資産がこの上に乗ってくるため、経済圏はこれと比べ物にならない規模になるでしょう。それを扱う企業の内部勘定の仕組みとして、われわれはmijinを提供しているわけです。そして、日本円や仮想通貨、トークンを自由に交換できる場としてzaifを運営しています。もっと先になると法定通貨がトークン化されて乗ってくるため、あらゆる金銭価値が回ると見込んでいます。カナダなど、国によっては通貨のデジタル化を発表しているところもありますし、香港のある企業は米ドルとペッグ(貨幣相場を米ドルと連動)した仮想通貨を作られています。また、BCCC(ブロックチェーン推進協会)としても、社会実験で円を仮想通貨化して流通させることを発表しました

 --仮想通貨に関連した銀行法の改正法が4月から施行されたが、それについては。

 今は仮想通貨を使った悪徳商法が蔓延しているので、整備されることでマーケットがかなり健全化されると思っています。ハードルが高いため、中小で仮想通貨を扱っているところは参入が難しくなってしまいますが、その分ユーザーの安心感は上がるでしょう。完全にホワイト化されれば、われわれもビジネス展開をしやすくなります。今まで躊躇されていた企業も、トークン化に乗り出されるのではないでしょうか。

 あとは社会の受け入れ次第ですが、wantsとneedsが上がれば普及は自然に進むと思っています。トークン化されることで、取引所間でのやりとりなどがブロックチェーン上で簡単にできるようになれば、使いたい人も増えるはずです。

 われわれは今年、mijinをデュアルライセンスのオープンソースとして公開します。自由にダウンロードできるようにして、使うときは用途に応じて有料ライセンスにする予定です。現在、組み込みを考慮して作り直しており、中小企業から大企業で使えるエンタープライズ向けの製品として、夏〜秋には発表する予定です。

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