インフォテリアとテックビューロは6月、ミャンマーのマイクロファイナンス機関「BC Finance」において同社の融資・貯金の基幹システムの勘定データをミドルウェア「ASTERIA WARP」を使い、PaaS「Microsoft Azure」上に配置したプライベートブロックチェーン「mijin」に移行する実証実験に成功したと発表。並行運用実験をこの8月まで実施していた。この実証実験を担当したインフォテリアの東京R&Dセンター長 田村 健氏に話を聞いた。
--ミャンマーでの実証実験について、経緯と概要を教えてください。
ミャンマー最大のマイクロファイナンス機関である「BC Finance」の、CEOJeremy Kloiser-Jones氏とインフォテリアの代表が会う機会があり、その中で「フィンテックが盛り上がっているが、何かできないか」と話したことがきっかけでした。
BC Financeでは、マイクロファイナンスの貸し付けなどの業務管理にバングラディッシュのパッケージ製品を利用していました。そこのいわゆる台帳データをブロックチェーンで管理できるかどうかを検証してみようという話になりました。
インフォテリアの東京R&Dセンター長 田村 健氏
実際には、BC Financeの融資・貯金の基幹システムの勘定データと、インフォテリアのシステムのデータを、ノンプログラミングで連携できるミドルウェア「ASTERIA WARP」とアダプタを使って、「Microsoft Azure」上に配置したプライベート・ブロックチェーン「mijin」に移行するという実証実験を実施しました。
パッケージがSQLサーバにデータを貯め込んでいるという話は当初から聞いており、そのデータはBC Financeと顧客の貸付と返済のトランザクションでした。このデータをそのままブロックチェーンに取り込めるのではないかということで実行しました。
パッケージソフトなので、内部の仕様が分からないという懸念はありました。そこでBC Financeの技術者に欲しいデータを伝えて、実際に「mijin」とつなげたらどのようなデータが返ってくるのかを確認していきました。ただ、細かいデータは現地に行かないとわかりませんし、認識のズレもありました。そこで現地に2回行く中ですり合わせをして、データの取り込みの部分はうまくいきました。
<処理の概要>BC Finance(全19支店をミャンマー8州に設置)の1支店のアクティブな口座における全ての取引履歴(勘定データ)を、ASTERIA WARP、mijinアダプタを利用し、プライベート・ブロックチェーン「mijin」に記入した。なお、BC Financeでは、1アカウント(1顧客)に対してLoan(融資)用1口座、Saving(貯蓄)用2口座の合計3口座が割り当てられる運用であった(インフォテリア提供)