ブロックチェーンの実用性--金融本番環境で実験

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2016-10-11 07:00

 インフォテリアとテックビューロは6月、ミャンマーのマイクロファイナンス機関「BC Finance」において同社の融資・貯金の基幹システムの勘定データをミドルウェア「ASTERIA WARP」を使い、PaaS「Microsoft Azure」上に配置したプライベートブロックチェーン「mijin」に移行する実証実験に成功したと発表。並行運用実験をこの8月まで実施していた。この実証実験を担当したインフォテリアの東京R&Dセンター長 田村 健氏に話を聞いた。

--ミャンマーでの実証実験について、経緯と概要を教えてください。

 ミャンマー最大のマイクロファイナンス機関である「BC Finance」の、CEOJeremy Kloiser-Jones氏とインフォテリアの代表が会う機会があり、その中で「フィンテックが盛り上がっているが、何かできないか」と話したことがきっかけでした。

 BC Financeでは、マイクロファイナンスの貸し付けなどの業務管理にバングラディッシュのパッケージ製品を利用していました。そこのいわゆる台帳データをブロックチェーンで管理できるかどうかを検証してみようという話になりました。


インフォテリアの東京R&Dセンター長 田村 健氏

 実際には、BC Financeの融資・貯金の基幹システムの勘定データと、インフォテリアのシステムのデータを、ノンプログラミングで連携できるミドルウェア「ASTERIA WARP」とアダプタを使って、「Microsoft Azure」上に配置したプライベート・ブロックチェーン「mijin」に移行するという実証実験を実施しました。

 パッケージがSQLサーバにデータを貯め込んでいるという話は当初から聞いており、そのデータはBC Financeと顧客の貸付と返済のトランザクションでした。このデータをそのままブロックチェーンに取り込めるのではないかということで実行しました。

 パッケージソフトなので、内部の仕様が分からないという懸念はありました。そこでBC Financeの技術者に欲しいデータを伝えて、実際に「mijin」とつなげたらどのようなデータが返ってくるのかを確認していきました。ただ、細かいデータは現地に行かないとわかりませんし、認識のズレもありました。そこで現地に2回行く中ですり合わせをして、データの取り込みの部分はうまくいきました。


<処理の概要>BC Finance(全19支店をミャンマー8州に設置)の1支店のアクティブな口座における全ての取引履歴(勘定データ)を、ASTERIA WARP、mijinアダプタを利用し、プライベート・ブロックチェーン「mijin」に記入した。なお、BC Financeでは、1アカウント(1顧客)に対してLoan(融資)用1口座、Saving(貯蓄)用2口座の合計3口座が割り当てられる運用であった(インフォテリア提供)

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  3. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. セキュリティ

    クラウド資産を守るための最新の施策、クラウドストライクが提示するチェックリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]