5月に施行される欧州の一般データ保護規則(GDPR)がもたらす、もっともショッキングで明るい面の1つは、この規制は、企業に対して収集したデータの真の所有者はユーザーだと明示していることだ。
多くのビッグデータ企業はすでに動いており、Facebookのような企業は可能な限りユーザーをGDPRの影響範囲から移すことで、これまでの方法を継続しようとしているが、少なくともまだ、その取り組みを制限しようと試みるチャンスはある。
Mark Zuckerburg氏が最近米国議会に姿を現したときに、Facebookが考える規制について議会に示そうとしたところを見ると、同氏にも世間の風向きは見えているようだ。
米国議会がFacebookの創業者であるZuckerburg氏を断罪するのではなく、世論をなだめ、規制の策定について同社と協力しようとする態度が見えたことは、よい兆候とは言えない。それは、大富豪だったJohn Rockfeller氏や、モルガン財閥の創始者J. P. Morgan氏に独占禁止法の下書きをさせるようなものだ。最善の場合でも面白みのないものになるだろうし、最悪の場合は、将来Facebookやその他の大手IT企業を保護するものになってしまいかねない。
サービスに登録していない人間の情報を追跡している企業に、政策を作る機会を与えるなど、議会の責任放棄であり、問題の重大さを把握していないことを示している。
Facebookは巨大企業であり、今後も社会にとどまり続ける。同社は年間約410億ドルの売上を上げており、2017年の利益は約160億ドルだった。仮にFacebookにすべてのデータを削除させることができたとしても、そこからコピーされた個人情報が、すでに開発会社やマーケティング会社、研究者に流れており、分析され、情報から得られた知見が世界中で取引されている。
すでに外部に出てしまった個人情報を取り戻すためにできることはあまりなく、データはすでにアナリティクスエンジンに蓄積されてしまっている。したがって、重要なのは被害を最小限に抑えることであるべきだ。できるだけユーザーに権利を取り戻す規制について検討するべきかもしれない。
GDPRは欧州にとってはよいスタートになったが、ほかの地域は、GDPRと同等のものか、それ以上のものを必要としている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。