米ZDNet編集長Larryの独り言

Facebook騒動の動向とGDPR、データプライバシー問題の行方

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-04-10 17:38

 Facebookの最高経営責任者(CEO)Mark Zuckerberg氏は、米国時間4月4日にメディアの前で同社の情報プライバシー問題について詳しく説明し、同社の責任を認めた。最高執行責任者(COO)のSheryl Sandberg氏も、その次の日にインタビューに応じ、安全性への投資が不十分だったと語っている。しかし本当に重要なのは、情報プライバシーの問題では欧州は進んでいると同氏が言及したことかもしれない。

 Cambridge Analyticaについての連日の報道や、Facebookのプライバシー設定やデータ共有に関する度重なる変更、間近に迫っている欧州の一般データ保護規則(GDPR)の施行なども併せ考えれば、ユーザーの個人情報の利用に関する状況が変化しつつあることは明らかだ。

 またSandberg氏はBloombergに対して、Facebookの広告主の一部が広告の出稿を一時取りやめたとも述べている。これは、変化に対する経済的なインセンティブも生じていることを意味する。

 実のところ、変化する以外の選択肢は残されていない。また、大局的な視点も失ってはならない。今回のFacebookの騒動は、顧客情報の管理、コントロール、共有のあり方を揺さぶっており、あらゆる企業がその影響を受けることになるだろう。なぜなら、あらゆるビジネスの中核は顧客情報だからだ。

 思案すべき項目をいくつか挙げてみよう。

 プライバシーとデータ共有については、欧州の規制が世界の規範となる。GDPRはEUの一規制にすぎないが、すべての多国籍企業はこれに従う必要がある。企業は5月25日の施行日に向けて対応を急いでいるが(Facebookのプライバシー設定の変更は、実際にはこれが理由だ)、GDPRには不明瞭な部分もあり、施行日以降も企業の対応は続くだろう。

 米国が情報プライバシーの分野を先導することにならない。Zuckerberg氏は米国時間4月10~11日に米議会公聴会に出席する。連邦議会で同氏に対する質疑が行われるが、結局のところ、法制面での変更はほとんどないかもしれない。消費者も、情報プライバシー権を強く要求しているわけではない。ユーザーはFacebookを日常的に使うことに満足し、今後もあらゆる情報を提供し、操作され続けるだろう。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    マンガでわかる脆弱性“診断”と脆弱性“管理”の違い--セキュリティ体制の強化に脆弱性管理ツールの活用

  3. セキュリティ

    クラウドセキュリティ管理導入による投資収益率(ROI)は264%--米フォレスター調査レポート

  4. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

  5. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]