展望2020年のIT企業

“デジタルの親玉”が説くデジタルへの道

田中克己

2018-08-02 07:00

 デジタルビジネスはどの程度、進展しているのだろう。人材不足や資金不足などを理由に、「投資に見合う効果を期待できない。投資をする余裕もない」などと消極的な意見を述べる経営者や管理職は少なくないように思える。変革を嫌う現場に加えて、デジタル人材不要論まで飛び出す。“デジタルの親玉”と言われているアクセンチュアでデジタルコンサルティング本部統括本部長を務める立花良範執行役員は、日本のモノ作りの明日がデジタルで見えてくると説く。

アクセンチュアが考えるデジタルビジネス

 デジタルとは何か。立花氏はIT活用に詳しくない経営者らに、ローマ教皇を選ぶコンクラーベの写真を見せる。公場に集める信者らが2013年になると、白い煙をスマートフォンで写し、結果をSNSに投稿する。新聞やテレビの報道ではなく、消費者が自ら情報を発信、収集する時代に様変わりしたといえる。別の言い方もする。ご飯の並盛と大盛をアナログで説明すると、盛り方や茶碗の大きさになるが、デジタルの並盛は3000粒、大盛は4500粒と明確に1.5倍の量になる。

 こうしたデジタル化を支えるのがSMACS(ソーシャル、モビリティ、アナリティクス/AI、クラウド、センサ)の技術である。ソーシャルとモビリティが先のスマートフォンによる情報発信、収集をいつでもどこでも可能にする。センサから集めたデータはサーバではなく、クラウドに蓄積、分析する。そこにAIも活用し、見えなかったことを見えるようにする。

 立花氏は、そんなSMACSを生かしたデジタルビジネスがどんどん生まれているという。例えば、高価な設備に温度や湿度など各種センサを取り付けて、内部を可視化し、故障を予知し、事前に修理する。店舗内の顧客を監視、分析し、求めるものや欲しいものを提案する。需要の予測も可能になる。

 だが、IT活用と変わらないように思える。立花氏は「導入したシステムが自ら学習、進化すること」とデジタル化との違いを説明する。例えば、コールセンターに、AIチャットボットを導入する。当初、難しい質問は専門家が対応するが、それをAIにフィードバックし、学んだAIチャットボッドが答えるようになる。どんどん進化するわけだ。導入料金も、こうした変革がどんな価値を生み出すかによる。人月ではない。だから、構造改革に着手したい企業は価値を共有するパートナーを探し求める。

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