海外コメンタリー

CIOの影響力に変化?--デジタル変革の推進力となるために真に求められること

Mark Samuels (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-07-26 06:30

 ITリーダーの役割は組織のデジタル変革を支援することだ。しかし多くの企業は、破壊的変革の脅威によって、不利な状況に陥っていると感じている。また一部の最高情報責任者(CIO)は、テクノロジ関連の意思決定に対する自らの影響力が縮小していると感じ始めている。

 これが、人材紹介会社Harvey Nashとコンサルティング会社KPMGが実施した調査「2018 CIO Survey」の結論の1つだ。またこの調査では、デジタルプラットフォームへの移行が、ITリーダーにとって大きな課題になっていることが明らかになった。従来型の企業がデジタル時代の市場で新たなルートを開拓するには、デジタルプラットフォームが必要不可欠だ。

 しかし企業の4分の3以上(78%)は、自分の会社のデジタル戦略の効果は、よくて中程度だと答えている。また10社に1社近く(9%)は、デジタル化に関する明確なビジョンや戦略をまったく持っていないと述べている。さらに、デジタル化に対する投資の多くは、業務の根幹に関わるアクティビティではなく、フロントエンドに重点が置かれている。

 重要な領域でデジタル変革が進展していないことで、企業は失望しており、これがCIOの権限が弱まる原因になる可能性がある。企業の半数以上(55%)は、IT部門と事業部門の連携は「中程度」かそれ以下だと評価している。

 Harvey Nashの最高経営責任者(CEO)Albert Ellis氏は「企業は市場の破壊的変革により混乱に陥りつつあり、一部のCIOは変化の大きさに戸惑っている」と述べている。また同氏は、より憂慮すべきトレンドとして、破壊的変革への対応の失敗が、CIOの影響力の低下を引き起こしていると見ている。

 取締役会に席を持つCIOの数は減っており、前年に比べ9%減少している。また、自らの影響力が高まっていると答えたITリーダーの数も減っており、前年比で8%減少した。さらに「非常に満足」していると感じているCIOの数も13%減っている。

CIOの新たな役割

 ITリーダーは、変革の遅れと、事業部門に対する影響力の低下が同時に起こっていることに危機感を感じるかもしれない。しかしEllis氏は、文脈を考慮すべきだと述べている。同氏によれば、多くのCIOは直属の上司が誰かによって自分の影響力を判断しているという。CIOは一般にCEOの直属になることを望むが、必ずしもそれがかなわない場合もある。

 また、多くのCIOは取締役会に席を持っていないが、その一方で、事業部門のテクノロジに対する関心はこれまで以上に高まっている。その証拠に、企業役員のうち実に84%が、自分の会社の2018年のIT予算は前年と同じか、増加する見込みだと答えている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    マンガでわかる脆弱性“診断”と脆弱性“管理”の違い--セキュリティ体制の強化に脆弱性管理ツールの活用

  3. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

  4. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

  5. セキュリティ

    クラウドセキュリティ管理導入による投資収益率(ROI)は264%--米フォレスター調査レポート

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]