ヴイエムウェアのゲルシンガーCEO、"3つの法則"で進むマルチクラウド時代を語る

Eileen Yu (ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2019-05-31 06:45

 物理的法則や経済的法則、地理的法則により、企業におけるコンピューティングは今後、マルチクラウドに向かっていく。このためテクノロジーベンダーは、企業がこのような環境を管理できるよう、支援に力を入れていかなくてはならない。また組織は、セキュリティをより上手に取り扱う必要に迫られるだろう。さまざまなベンダーが提供する複数のツールが組み合わさったセキュリティは、効率的に運用するにはあまりにも複雑であり、何らかの変革が必要となっている。

 VMwareの最高経営責任者(CEO)Pat Gelsinger氏は、シンガポールで現地時間5月23~24日に開催された「VMware CIO Forum」において、あらゆる組織は最終的にマルチクラウドによるハイブリッド環境で運用されるようになるだろうとの予想を語った。同氏はこの動きの原動力となっている「クラウドにおける3つの法則」を述べたうえでその例として経済的法則を挙げ、企業のストレージや帯域幅、ネットワーキングに対する要求が業務の成長にともなって増すなかで、クラウドという選択肢がコスト面でより有利になっていくという点を指摘した。

 その一方で物理的法則は、より迅速な応答時間を必要とする一部の機能がオンプレミス環境で実行されなければならないことを示唆している。例えば、工場に設置され、50ミリ秒以内に応答しなければならないようなロボットアームはクラウド環境を利用できないだろう。

 同氏は「物理的法則により、こういったロボットをクラウド経由で稼働させることはできない」と述べ、このような迅速な反応を実現するにはコンピュート能力を近くに配置しておかなければならないため、データもオンプレミスに配置しておかなければならないと続けた。

 また同氏は、地理的法則として、データの主権にまつわる法律を挙げ、一部の企業はワークロードやデータをパブリッククラウドではなくオンプレミスのローカル環境上で実行/保存する必要に迫られるだろうと述べた。

 さらに同氏によると、現在5〜6種のクラウドプラットフォームを利用している企業は、将来的に8〜10種を利用するようになる可能性があるため、さまざまなツールやシステム、アカウントを管理する方法が必要になるという。

 同氏は、ここにVMwareの活躍できる場所があると考えており、企業の買収(2018年8月に発表したCloudHealth Technologiesの買収など)が特にそれに貢献すると述べた。その狙いは、マルチクラウド環境や、コストの分析、課金、使用量、セキュリティ、コンピューティング環境のパフォーマンスを、「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」「Google Cloud」などのネイティブなパブリッククラウド環境をまたがって管理できるよう企業を支援するというものだ。

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