Salesfoce.comの幹部は、「Work.com」プラットフォームの今後の見通しについて楽観的であり、このサービスを、同社の製品ポートフォリオとの相乗効果を期待できる投資だと考えている。Works.comは、顧客企業が新型コロナウイルスによって止まった活動を、ニューノーマル(新常態)に向けて安全に再開できるよう支援するサービスだ。
Salesforceの業績発表カンファレンスコールで得られたもっとも重要な結論は、危機はしばしばイノベーションの源泉になるということかもしれない。同社の最高経営責任者(CEO)Marc Benioff氏は、次のように語った。
これは私の個人的な信念だが、危機の時こそ投資すべきだ。それができない企業もあるだろうが、できる企業も驚くほど多い。だからこそわが社は、十分な機能のポートフォリオを提供する必要がある。
2008年の経済危機とは違い、新型コロナウイルスのパンデミックは他に例を見ないものであり、企業が過去に経験した危機とは異なっている。パンデミックを受けて、企業は今後デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを加速させていくはずだ。Benioff氏は、新型コロナウイルスで見通しが不透明だとして2021会計年度の売り上げ見通しを引き下げた一方で、同社の予想契約件数や商談中の案件に関する数字は好調だと述べている。
同社がWork.comを立ち上げたのは、主に新型コロナウイルス後の「ニューノーマル(新常態)」を見据えてのことだ。このサービスは、Workdayなどのサービスと統合することによってさらに大きなメリットが得られる。Benioff氏は、Work.comは一定のエコシステムを獲得するとの見通しを示し、Salesforceの「Customer 360」の取り組みや「Einstein」などをはじめとする同社のさまざまなクラウドサービスを活用したものになると述べた。
世界の大部分が安全を確保しながら再始動するフェーズ2に移行し始めれば、Work.comプラットフォームはこれまで満たされていなかった巨大なニーズを満たすことになるだろう。経済は一歩ずつ回復し始めている。Salesforceも再びオフィスを稼働し始めつつあり、その流れはアジアから始まっている。活動の再開は安全に進める必要があり、責任ある形で行われなければならない。そのプロセスは複雑なものになるはずだ。
Work.comは、対人接触状況の追跡、緊急対応管理、従業員の健康評価、シフト管理など(活動再開プロセスにおける)あらゆることを集中的に扱う指令センターのような役割を果たすことを目指したものだ。Salesforceは多くの意味で、Work.comによって新たな領域に踏み込んでいくことになる。またWork.comは、「MuleSoft」から「Tableau」、Salesforceの各種クラウドまで、あらゆるものを活用することができるだろう。
Benioff氏は、Work.comは多くの関心を集めており、Workdayとの統合によって従業員データが利用できるようになれば、プラットフォームが強化されるだろうと述べている。「Work.comのエコシステムは、今後数カ月の間に、急速により堅牢で、より充実したソリューションを備えたものになっていくだろう。多くの顧客が、どうすればWork.comに自社の製品を統合できるのかと問い合わせてきている」と同氏は言う。
しかし、Work.comのようなサービスが今後もプラットフォームとして継続的に利用されることになるのかどうかは、まだ分からない。需要の大きな部分が、新型コロナウイルス感染症のワクチンができるかどうか、ニューノーマルが過去の働き方のようになるかによっても変わってくるだろう。いずれにせよ、SalesforceはDXの原動力としての自社の価値を高めようとしているようだ。Work.comは、巨大な企業であっても機敏な動きを見せることができることを示している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。