米ZDNet編集長Larryの独り言

セールスフォースによるTableau買収をどう見るか

Larry Dignan (ZDNet.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子 2019年06月18日 06時30分

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 Salesforceにとって、157億ドル(約1兆7000億円)を投じるTableau Softwareの買収はこれまでで最も戦略的な動きであるという点にほぼ間違いはない。というのも、米国時間6月10日に発表されたこの買収は、顧客に関する360度の視点を提供するとともに、エンタープライズ向けのデータスタックとしてデファクトスタンダードになるというSalesforceのマスタープランを具現化するものだからだ。

 またこの買収は、Salesforceがエンタープライズにおいて標準となっている可視化ツールだけでなく、熱意あるデータコミュニティーを手に入れられるという点で、考察に値する興味深い側面を有している。Tableauの製品は、Salesforceのプラットフォームや、「Einstein」といったテクノロジーとの融合が可能だ。Salesforceの最高経営責任者(CEO)Marc Benioff氏は、顧客から嫌というほどTableauの話を聞かされたため、買収するしかないと考えたという。

 以下では、SalesforceによるTableauの買収について知っておくべきことと、その背景を解説する。

Salesforceの収益基盤が強化される

 今回の買収は株式交換を通じて実施されことになっており、TableauとSalesforceの株式交換比率は1対1.103が予定されている。買収が10月1日に完了すると仮定した場合、Salesforceの2020会計年度の売上高は買収によって3億5000万~4億ドル(約380億~430億円)増加し、164億5000万~166億5000万ドル(1兆7800億~1兆8000億円)になると見込まれている。

 一方、Salesforceの同年度における非GAAPの1株あたり利益は約0.20~0.22ドル(約22~24円)減少し、2.68~2.70ドル(約290~292円)になる見込みだ。

 結局のところ、Salesforceは少しばかり企業規模が大きくなる。Tableauの年間売上高は14億ドル(約1500億円)近いとはいえ、Salesforceはエンタープライズ向け大手ソフトウェア企業として300億ドル(約3兆2500億円)という売上高を視野に入れている点を忘れてはならない。

Tableauの買収とクロスセリングによってSalesforceはさらに成長する

 SalesforceはTableauの買収によって、トップクラスのアナリティクスプラットフォームと、そのデータスタックの一部を手に入れることになる。多くの企業はSalesforceおよび/あるいはTableauの製品を利用している。Benioff氏は以下のように述べた。

 Charles SchwabやVerizon、Schneider Electric、Southwest Airlinesなど、世界で8万6000社がデータの把握や理解にTableauの製品を活用している点を私は特に高く評価している。そして、こうした企業はSalesforceの素晴らしい顧客でもある。その点はご存じと思う。私が注目したのはそこなのだ。

 詰まるところ、エンタープライズ向けソフトウェア企業は(クラウドプロバイダーであるかどうかにかかわらず)、顧客にさまざまな製品を提供したいと考えている。Tableau製品を使用しているが、Salesforce製品を導入していない企業や組織に対しては、クロスセリングの機会がある。また、両社に共通する顧客に対しては、「Einstein with Tableau」といった統合製品を販売することが可能だ。さらに、Salesforceの「Marketing Cloud」とTableauの製品が強力な組み合わせとなるのは間違いない。

 そしてSalesforceは、要となるアナリティクスプラットフォームを手に入れるだけでなく、MicrosoftやSAP、Oracleがそれを手にすることを阻止できる。

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