最近行われた調査では、回答したIT部門マネージャーの25%が、1年以内にすべてのアプリケーションをクラウドに移行すると予定だと答えていた。しかもこれは、新型コロナウイルスの危機による影響が深刻になる前に実施された調査だ。
提供:Joe McKendrick
O'Reilly MediaがIT部門のマネージャーやエンジニア1283人を対象に1~2月にかけて実施したこの調査では、クラウド環境への全面的な移行を進めているのは、大規模なIT部門を持つ余裕がない小さな企業だけではないことが明らかになった。大企業(従業員1万人以上)の回答者のうち17%は、すでにすべてのアプリケーションをクラウドに移行済みだと回答した。
また、10社に9社は、今後クラウドベースのインフラの利用を増やす予定であることも明らかになった。回答者の25%がクラウドへの全面移行を予定していると答えただけでなく、3分の2以上(67%)が少なくともアプリケーションの過半数(50%以上)をクラウドに移行すると述べていたことも注目に値する。これは非常に大きな変化だ。
ベンダーについて尋ねたところ、回答者の過半数(54%)は複数のクラウドプロバイダーを利用していた。もっともよく利用されていたのはAmazon Web Services(AWS)で、調査対象の3分の2以上(67%)が利用していた。また、48%がMicrosoft Azureを、3分の1近く(32%)がGoogle Cloud Platform(GCP)を利用している。
企業がクラウド企業に進化するためには、特別なスキルが必要になる。調査では、マイクロサービス、サイト信頼性エンジニアリング(SRE)、サーバーレスコンピューティングの導入状況についても調べた。回答した組織の半数以上(52%)は、ソフトウェア開発にマイクロサービスの概念、ツール、手法を使用していると述べていた。10人に7人は、マイクロサービスを使い始めて3年未満だと答えているため、この技術はまだ比較的新しいアプローチであることが分かる。
ただし、レポートの著者であるRoger Magoulas氏とSteve Swoyer氏は、調査ではマイクロサービスアーキテクチャーを導入しているかどうかを尋ねておらず、実験やアドホックな利用と導入では大きな違いがあるとしている。「開発チームがマイクロサービスアーキテクチャーのツール、概念、手法を使っているからといって、マイクロサービスのアーキテクチャーを導入しているとは限らない。これは、マイクロサービスのパターンが、従来のソフトウェア開発と比べて、特定のユースケースに特に適していることを意味しているだけかもしれない」と書いている。また、SREについては、回答者の組織の35%がSREの職務を導入しており、半分近く(47%)が将来導入する予定であることが明らかになった。
著者はサーバーレスを厳密に定義しようとしていないが、彼らのオーディエンスとなる人々の多くにとって、サーバーレスは「Function-as-a-Service」を意味していると述べている。こうしたことを念頭に置いて、サーバーレスコンピューティングを利用していると答えたのは、回答者の3分の1強(34%)だった。一方、サーバレス技術を利用していない組織の過半数は、当面この技術を利用する予定はないと回答していた。レポートによれば、これらの新しい技術(マイクロサービス、SRE、サーバーレス)の状況は、互いに密接に関連しているようだ。著者らは、「マイクロサービスアーキテクチャーやサーバーレスコンピューティング、サービスメッシュアーキテクチャーなどをはじめとする次世代技術の複雑さが、SREへの関心の高まりに寄与している(後押ししているとまではいかなくとも)可能性があるかもしれない」と考察している。今後状況がどのように展開するかが分かるまでには、まだ時間がかかりそうだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。