新型コロナウイルスの流行によって、企業がデジタル戦略の再考に着手せざるを得なくなったのは1年前のことだ。ITの専門家は当時、急いで導入された施策の多くはその場しのぎにすぎないと警告していた。
そして、ITの専門家は今になってその代償を支払っているようだ。AppDynamicsが公開した最新の調査結果は、IT部門が複雑さに直面しており、仕事から受けるストレスが増大していることを示している。その間も、ペースを緩めずにデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めていくことに対するプレッシャーは減っていない。
2020年12月~2021年1月にかけて実施された最新の調査によれば、技術者の75%がコロナ禍への対応によってITがかつてないほど複雑になっていると感じている。また83%もの回答者が、自分の業務はこの1年でより複雑になったと答えていた。
この調査は、売上高が5億ドル以上の企業に所属する1050人のIT専門家を対象として実施されたものだ。回答者が所属する業界は、IT産業、金融サービス業、小売業、公共部門、製造業、自動車産業、メディア産業など多岐に渡っている。
AppDynamicsが2020年春に実施した同様の調査では、IT専門家の95%が、コロナ禍の影響で所属企業がテクノロジーに関する優先順位を変更したと回答していた。また同じ調査で、71%もの回答者が、コロナ禍以前であれば数カ月から数年かけていたDXプロジェクトが数週間で進められたと述べている。
今回の調査結果では、実際に、2020年のDXプロジェクトはパンデミックより前に実施されたものに比べて3倍の速度で進められていたことが明らかになった。回答者の88%は、2021年に直面する最大の課題は速いペースでDXをやり抜く必要があることだと答えている。
AppDynamicsのレポートでは、「企業は、速いペースで変革を進めていくためにクラウドコンピューティングへの移行を急ぐ必要があったが、そのことで複雑さが増したのに加え、技術者はIT部門が所在する施設の内外両方でシステムを管理するという課題にも直面している」と述べている。
その一方で、速いペースでの変化や複雑さの増大はIT専門家の負担を増大させている。調査によれば、89%もの回答者が仕事で極めて大きなプレッシャーを感じているという。また、84%は仕事から頭を切り替えることが難しいと述べており、81%は仕事に対する不満が高まっていると感じていた。63%が同僚との衝突の水準が高まっていると答えている。
今回の調査では、調査対象者の大半(79%)が、自分たちが下す技術的な意思決定はビジネスのパフォーマンスに直接的な影響を与えていると回答していた。ところが、66%は技術的な意思決定がビジネスの成果に与える影響を効果的に測定するための戦略とツールが不足していると述べている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。