テクノロジー企業から中央銀行に至るまでのさまざまな組織が、ブロックチェーンテクノロジーによる難問解決の可能性に目を向けている。その一方で、開発者らは分散型台帳システムについてどのように考えているのだろうか。
開発者コミュニティー向けのナレッジ共有プラットフォームのStack Overflowが693人のソフトウェア開発者を対象に最近実施した調査によると、ブロックチェーンテクノロジーは新たな重要テクノロジーだとする回答者が最も多かった一方、ただのハイプにすぎないとした回答者が3分の1強に上った。
この懐疑的な見方の結果はおそらく、ビットコインの激しい価格変動によるという側面もあるだろう。しかし、コンシューマーが日々の生活の中で行う流動性のある取り引き(つまり、貯蓄預金に関するような固定性のある取り引き以外)や、国際的な金銭移動を容易にするためのデジタル通貨向けのテクノロジーとして、ブロックチェーンの勢いは増してきている。
オーストラリアや英国、米国、スウェーデン、中国の中央銀行は、モバイル機器上での取り引きに使用できる中央銀行デジタル通貨(CBDC)を創出すべく、ブロックチェーンテクノロジーの検討や試験運用を実施している。
こうした動きとは別に、米ドルと連動するステーブルコインの発行を目指す、Facebookが後押ししている「Diem」プロジェクト(旧称「Libra」)や、仮想通貨(暗号資産)取引所を運営するCoinbaseの大規模な新規株式公開(IPO)というニュースもある。これらすべてはブロックチェーンテクノロジーを礎としている。
Stack Overflowの今回の調査では、回答者の38%がブロックチェーンは「まったくのハイプ」だと捉えている一方、61%は画期的なテクノロジーだと考えている。しかし、実際にブロックチェーンを用いた開発の経験があるとした回答者は24%にすぎない。つまり、これは特殊な分野なのだ。
とはいえ、これは開発者らが探求したいと強く思っている分野の1つでもある。Stack Overflowの調査では、回答者の62%がブロックチェーンを用いる仕事をしたいと答えている。一方、実際にブロックチェーンを用いる仕事をしているとした回答者のほとんどは、その仕事をメインにしているわけではないと答えている。
開発者が仕事で用いることのできるブロックチェーンには数多くの種類がある。しかし、最も広く利用されているのは断然、Ethereumだ。
Stack OverflowのBen Popper氏とDavid Gibson氏は同社ブログに「ビットコインが先に登場したが、2016年以降はEthereum関連の質問が多くなっている」と記している。
Stack Overflowのプラットフォーム上で投げかけられる質問の多くはEthereum関連となっており、その数は1892に上っている。一方、ビットコインに関する質問の数は1287だ。驚くべきことではないが、ブロックチェーンに関する質問は、ビットコインの価格が高騰した時期に増加している。
またStack Overflowの調査では、依然としてJavaScriptやPython、Javaがブロックチェーンテクノロジーの主要構成要素となっていることも明らかになっている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。