Puppetが発表した、DevOpsに関する業界全体を対象とした最新の調査レポートでは、DevOpsを推進している人々に対して、取り組みを「DevOps」と呼ぶのをやめるべきだとアドバイスしている。これは、その名前がかえって混乱を生んでいるためだ。レポートの中では、「DevSecOps」という言葉の使い方についても話が及んでいた。また、興味深いことに、巧妙に設計されたITアーキテクチャーは、企業文化の問題を解決するのに役立つ場合があるとも指摘している。
これらの内容はいずれも、Puppetが発表したレポート「2021 State of DevOps Report」に掲載されていたものだ。このレポートの元になった調査は、IT、開発、情報セキュリティの分野の専門家2650人を対象に実施された。チームの名前に「DevOps」という言葉を使うべきではない理由は、DevOpsの人気が落ちているからではない。実際、レポートでは、回答者の83%が所属する組織でDevOpsを導入しており、その多くが、高品質なソフトウェアをより短時間で提供できることも含めて、メリットを感じていることも明らかになっている。
しかし、Puppetのフィールド最高技術責任者(CTO)であるNigel Kersten氏とClearPath StrategiesのプリンシパルであるKate McCarthy氏を中心とするレポートの著者らは、「『DevOpsチーム』の存在は、業界や多くの企業にとって混乱を招くものであり、多くの場合、企業の進歩に貢献していない」と考えている。レポートでは、「私たちの経験によれば、責任の範囲を明確に定義した、曖昧さが少ない名前を使っている企業の方が、はるかにIT部門のパフォーマンスが高い場合が多い」と述べている。
多くの場合、DevOpsを担当する部門はさまざまな責任を担っている。調査の回答者による所属チームの説明を分析したところ、DevOpsチームは次のような役割を担っていることが分かった。
- 従来のインフラおよび運用
- システム管理
- 製品に対するエンドツーエンドの責任を負う
- リリースの自動化、デプロイメントパイプライン、ツールの提供の組み合わせによる開発チームの支援
- アプリケーション開発者がやりたくない、あるいは気にする必要のない面倒なもの(例えばインフラ、コンテナーファブリック、監視、メトリクス)の確立
- 組織全体でのDevOpsの実践の推進とそれを可能にするための取り組み
Kersten氏とMcCarthy氏は、「チームのアイデンティティーが明確でなければ、組織に大きな摩擦が生じ、さまざまな形でソフトウェアのデリバリーが妨げられる」と述べた上で、「私たちは、チームに『DevOps』という名称を使うのを避け、分かりやすい名前を使うことを勧める。また特に、大規模なDevOpsを成功させるためには、『Stream-alignedチーム』や『プラットフォームチーム』を使うことが明確な道筋だ」と付け加えている。(「Stream-alignedチーム」や「プラットフォームチーム」は、DevOpsにおけるチームの役割の違いに着目した「チームトポロジーモデル」と呼ばれる考え方に基づくチームの分類だ。2020年版のレポートでは、この考え方に着目した分析を行っている。Stream-alignedチームは、特定の事業分野のワークフローに沿って仕事をするチームであり、プラットフォームチームはStream-alignedチームのデリバリーを加速するための社内向けの環境作りを担うチームを指す)。