富士通は、2020年7月に表明した新たな働き方のコンセプト「Work Life Shift」を進化させ、「Work Life Shift 2.0」を展開していくと発表した。「Work Life Shift」は、従業員が主体的に最適な時間や場所を選択できる働き方にすることで、オンラインワーク中心でも生産性やエンゲージメントを向上させるというコンセプト。
「Work Life Shift 2.0」では、全社DX(デジタル変革)プロジェクト「フジトラ」と連携し、「Hybrid Workの実践とエクスペリエンス・プレイスへの進化」「DX企業としての働き方の進化」「WorkとLifeのシナジー追求」に取り組む。これにより、生産性の向上に加え、リアルとバーチャルやワークとライフの相乗効果による新たな価値を創出し、Well-being向上の参照モデルになると期待される。
「Hybrid Workの実践とエクスペリエンス・プレイスへの進化」では、2021年11月までに社内教育施設を大幅に削減し、オフィスの執務フロアの中心で新人教育などさまざまな研修やワークショップ、タウンホールミーティングを開催する予定。12月までに、同社保有のサテライトオフィス「F3rd(エフサード)」の一部を社外にも開放し、協創やネットワーキングの場を作る。
加えて、7月に入居した「JR川崎タワー」を実証実験の場として、生体認証の全面導入や社内ネットワークの「Secure Internet Gateway」など、社内外のテクノロジーを導入。これにより、従業員が自ら実践・体験することが可能となる。自社開発のイベント連動型マッチングサービス「Buddyup!」と位置情報活用基盤「ロケーションプラットフォーム EXBOARD for Office」を掛け合わせ、オフィスにおけるコラボレーションも促進する予定だという。
「DX企業としての働き方の進化」では、「Work Life Shift」をテーマに、スタートアップとの協業を進める「富士通アクセラレータプログラム」を活用する。同プログラムは革新的なスタートアップの技術・製品と富士通グループの製品・ソリューション・サービスを組み合わせ、世の中へ新たな価値を提供することが目的。これまでスタートアップと100件以上の共創事業を創出している。リモートワークが進む中で課題となっている、チームメンバーとのコミュニ―ションやストレス状況の把握、部門を超えたチームワークの模索・実践に向け、スタートアップと社内実践を開始する。
地方自治体との地域創生に関する連携では、3月に大分県と提携している。今後は、他の都道府県をはじめ地方自治体との連携協定を締結することで、DX企業として不可欠なビジネスプロデューススキルを向上させる。
「WorkとLifeのシナジー追求」では、男性育児参加100%を推進する。出産育児に関する休暇の取得日数を拡大し、積立休暇(多目的休暇)も併せて利用することで、7月から配偶者の出産前後に最大2カ月の100%有給休暇を付与している。上司や同僚からの「子育て応援宣言」やアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み・偏見)の抑制、パタニティーハラスメントの防止、パートナーに求められる役割の啓発活動を実施する。
さらに、ワーケーションや副業も推奨する。休暇取得やフレックスタイム制度とテレワークの組み合わせなどにより、心身のリフレッシュやメリハリのある働き方・休み方を実践する。
ワーケーションでは1〜3週間程度でのテレワーク活用により、出張先での滞在延長が可能で、交通費は往復会社負担。地方自治体と「富士通ワーケーションパートナーシップ」を結んで各地域コミュニティーとの協働によるワーケーションプランを企画し、地域課題をテーマとしたワークショップなどを11月から展開する。
副業は、地方への貢献や社外での活動を行うことで、従業員のスキルアップや経験値を高める選択肢として推奨していく。これまでも300人を超える従業員がさまざまな分野で活躍しているといい、今後はノウハウやスキルを求める需要側とのマッチングなども検討する。