4月17日に開催された「Enterprise 2.0 SUMMIT 2008 TOKYO」のオープニングセッションでは、McKinsey&Company(McKinsey)でコンサルタントを務めるJoseph Newsum氏が登壇した。同氏はこれまで20社以上の Enterprise2.0企業のコンサルティング経験を持ち、それを基に、Enterprise 2.0による経営への影響や企業の組織変革にフォーカスしたミッションを進めている。
Enterprise 2.0は技術そのものではない
講演の冒頭でNewsum氏は、Enterprise2.0を語る上で重要な4つのポイントを示した。
1つは、Enterprise 2.0について考えるときに重要なのは、「技術そのものではない」ことであるという。Wiki、タグ、RSS、ブログといったツールは、Enterprise 2.0の本質を表すものではなく、また企業の組織を直接変えるツールでもない。企業の中で人と人がどのようにかかわり合うのかという「関係性」を中心に見ていくことが重要であるという。
2つ目は、組織のコラボレーションをいかに生み出すについてである。Enterprise 2.0をうまく導入することで、マネジメントのアクティビティ、リソースの配分、利害関係者のバランス、個人のパワーを改善することが可能で、新しい関係を構築していくための統制や意思決定にも大きく役立つという。
3つ目は、Enterprise 2.0により従来型の組織構造が脅かされる点だ。企業は、今ある階層的な組織を変革する必要があり、これまで長年にわたって培ってきたマネジメントのセオリーやビジネススクールで学んだことは、忘れなければならないとする。
4つ目は、Enterprise 2.0は「創発的なイノベーション」を可能にする点。この「創発(emergence)」とは、局所的な複数の相互作用が複雑に組織化することで、個別の要素の振る舞いからは予測できないようなシステムが構成されることを言う。経営環境の変化が激しく、予測が困難な状況下では、個々の社員が、その変化にリアルタイムに反応することが必要だ。企業においては、そのような社員を創発的な環境の中で、効果的に管理していくことが求められるようになる。