Enterprise 2.0元年に向けた「3つの予想」

吉田健一(リアルコム) 2007年01月01日 08時00分

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“Web”と“Enterprise”の狭間で揺れる激動の2007年

 2007年が、企業(Enterprise)の情報基盤にとって大きな転換点となることは間違いない。

 Web 2.0の波は、ビジネスパーソンの日常を大きく変えてしまった。家に帰れば、ブログを読み、Mixiで友人の動向を確認し、Skypeでおしゃべりし、Gmailでメールを書く。そんなライフスタイルにどっぷりつかったビジネスパーソンは、会社に来て、はたと我に帰る。Mixi禁止、Skype禁止、2Mバイト以上のメール禁止。社内にあるのは更新されないイントラウェブサイトとゴミだらけのファイルサーバ。

「オフィスはなんと仕事がしにくいのか!」

 このことに気付いたビジネスパーソンの不満はもう押さえられない。昨年gooリサーチで行われたある調査では、回答者の8割以上が、現状の社内コミュニケーションツールに不満を持っており、66%が社内ブログを今後利用したいと回答している。プライベートで利用している便利なWeb 2.0ツールを会社でも使いたいという企業内個人の思いは、今年、本格的なうねりとなる。

 一方、エンタープライズベンダーも黙ってはいない。マイクロソフトは今年、Windows VistaとOffice 2007を鳴り物入りでリリースする。デスクトップ環境を支配するマイクロソフトが自ら推し進める10年来の大変革において提供される新しいユーザーインターフェースは、ビジネスユーザーの不満を解消する可能性を秘めている。一方のIBMはNotesの待望の次期バージョン「Hannover」を今年後半にリリースする。Notesクライアントがリッチクライアントプラットフォーム(RCP)に発展的に統合されるシナリオは、これまで先が見えなかったNotesユーザーにとって朗報だ。

 Web 2.0の潮流と、迎え撃つエンタープライズベンダー。この狭間で企業は、いや応なく、そのまま留まるか、新しい世界に踏み込むか、もしくは第三の道を歩むかの意思決定を迫られる。どちらに向かうにせよ、2007年が激動の年になることは間違いない。

 この、Web 2.0と従来の延長としてのエンタープライズシステムとの狭間で、企業情報基盤が激しく揺れ動くさまを「Enterpise 2.0」と呼びたい。Enterpise 2.0元年である今年、そこではどのような変化が起こりうるだろうか。「頭の体操」として、皆さんと一緒に3つの予想をしてみよう。

【予想1】GDrive vs. SharePointでファイルサーバ市場が激戦

 Google OS、Google PC、Google携帯と、Googleの新サービスに関するうわさが後を絶たない。その中でも、Enterpriseに最もインパクトが強いのがGoogle Drive(GDrive)である。

 GDriveは、Googleが提供するとうわさされているオンラインストレージサービスだ。端的にはウェブ上の無料ファイルサーバと言ってよいだろう。うわさでは、GDriveは無料で数Gバイトの容量が提供され、クライアントソフトを持ち、ローカルPCのデータをVPNでバックアップしたり、ウェブブラウザ経由でファイルにアクセスしたりできるという。サーバ側のファイルをローカルキャッシュすることでオフラインでも利用できる。もちろん、ファイルの共有や検索も簡単だ。

 ユーザーが「今すぐにでも欲しい」サービスだからこそ、これだけうわさされているわけだが、セキュリティの不安があり、そのままでは企業の情報基盤としては受け入れ難い。しかし、これが「for your domain」サービスとして提供されたらどうだろう。

 Googleは2006年、「Google Apps for your domain」というサービスを提供開始した。これはGmail、Google Calendar、Google Talk、Google Page Creatorの4サービスを、自社ドメインで利用できる企業向けサービスだ。管理者はウェブベースの管理パネルにアクセスし、ユーザーアカウントリストを管理したり、エイリアスや配信リストを設定したりもできる。有料でのプレミアサポートサービスも検討されている。

 このサービスと同様に「for your domain」形式でGDriveが提供されると、話は変わってくる。ユーザー管理機能や監査ログ機能などが提供されれば、情報システム子会社にファイルサーバホスティングをさせるのとなんら変わりはなくなる。高価なストレージコストやバックアップ/リカバリの運用費を考えたら、思い切って無料のGDriveに乗り換える企業も出てくるかもしれない。

 ファイルサーバはエンタープライズベンダーから忘れられた領域だ。マイクロソフトは、ファイルサーバを捨ててセキュアでコンプライアンス対応した最新鋭の「SharePoint 2007」に移行せよというが、これまで多額のコストをつぎ込んできたファイルサーバをごっそり捨てて、全面移行するのは現実的ではない。とはいえ、現状のままのファイルサーバは「ファイルゴミ箱」と化し、欲しい情報が探せない。であれば機密レベルの高い情報だけを社内に残し、それ以外の一般情報はGDriveへといった判断をする企業が出てきてもおかしくはないだろう。

 SharePoint 2007への乗換えか、既存のファイルサーバの活用か、はたまたGDrive for your domainか。今年、ファイルサーバ市場は混迷の様相を呈するだろう。

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