米EMCで会長 兼 社長 兼 CEOを務めるJoe Tucci氏の来日に伴い、同社は10月30日、記者会見を開催した。EMCは25日に2007年第3四半期の決算を発表したばかり。売上高が33億ドルで前年比17%増となった同社は、17四半期連続で2ケタの売上増を記録している。
Tucci氏は、これまでの業績を振り返り、「2002年には売上54億ドルで1億ドル以上の赤字企業だったEMCが、2007年は売上高127億ドル以上、純利益14億ドル以上の業績が見込まれている。これは、現在のEMCが、CIOがITの最優先事項として考えている分野のソリューションをすべて提供できるからだ」と述べた。
CIOが考える最優先事項であり、かつEMCの注力分野でもあるカテゴリーは8つあるとTucci氏。それは、仮想化、リソース管理、ストレージ、可用性、エンタープライズコンテンツ管理(ECM)、インテリジェントな情報管理、アーカイブ、セキュリティだ。RSA Securityを買収するまではセキュリティ分野のソリューションを持っていなかった同社だが、この8つのフォーカスエリアすべてのソリューションが整ったことで、「当面はエリアを拡大するよりは、この8つのエリアを強化していくことに注力する」とTucci氏は話す。
同社の強みについてTucci氏は、「例えばIBMは、われわれよりはるかに規模が大きく、ストレージのみならずチップやサーバなどさまざまな製品を開発している。しかし、EMCはストレージをはじめ、情報インフラストラクチャに限って言えば多くの分野でシェアも成長率もトップだ。EMCは市場にフォーカスし、迅速に動くことで競合に対抗している」と説明した。
2007年第3四半期の決算においてEMCは、ソフトウェアの売上高が13億ドルとなり、ハードウェアの売上高14億ドルとほぼ同等の売上を達成している。前年からの増加率では、ハードウェアの9%という伸び率に比べ、ソフトウェアは25%と顕著だ。だが、日本ではワールドワイドほどソフトウェアの成長率は高くなく、特にコンテンツ管理分野をつかさどる製品「Documentum」では遅れを取っていることをTucci氏も認めている。
この点についてTucci氏は、「日本のコンテンツ管理分野は他の市場より遅れているが、だからこそ潜在力が高いということだ。ローカライズにも力を入れ、パートナーと共に普及促進していきたい」と述べる。また、EMCジャパン 代表取締役社長の諸星俊男氏は、「Documentumに関しては現在NECがパートナーだが、今後さらにパートナーを拡大していきたい。J-SOXなどの対応でコンテンツ管理への要望も高まっているため、将来性は大きい」としている。