EMCジャパンは9月3日、エンタープライズコンテンツ管理(ECM)プラットフォームの最新版「EMC Documentum 6」を発表した。これは、米EMCが2003年に買収したDocumentumが提供していた製品の最新版となる。9月31日より出荷開始する。
米EMC ソフトウェア担当チーフアーキテクトのPaul Ricketts氏は、Documentum 6が「ECM分野で第3世代となる製品だ」と話す。「第1世代のECM製品は、小規模ベンダーがビジネス上の問題を個別に解決するためのポイントソリューションとして提供するに過ぎなかった。第2世代のECMは、Documentum 5が登場した頃で、DocumentumをはじめOpenTextやInterwovenといった中規模ベンダーがスイート製品としてECM機能を提供し始めた。第3世代は、EMCのような大規模ベンダーが情報インフラストラクチャの一部としてECM機能を提供することとなる」(Ricketts氏)
Documentum 6の主な機能のひとつに、WebサービスベースのAPI「Documentum Enterprise Content Services」がある。これは、SOA環境に完全に対応するための新しいインターフェースで、開発およびインテグレーションプロセスが簡素化できる。このサービスインターフェースは、Documentum固有のメソッドや用語を排除し、ベンダーに依存しないコンテンツ管理機能用のフレームワークを構築できるよう再設計されており、Documentumの経験が少ない開発者でもECMアプリケーションが容易に構築できる。
また、Documentum 6では、標準化された開発・設定ツール「Documentum Composer」を提供する。これにより、コーディングを軽減し、再利用可能なモジュール化されたアプリケーションが作成できる。さらには、リモート環境での操作を可能にする「Documentum Branch Office Caching Services」機能を拡張し、オフィスのロケーションに関係なく、ユーザーが閲覧や作成、編集、検索などを実行できるようにした。
Ricketts氏によると、2008年にも発表予定のDocumentum 6.5では、アーカイブ機能とECM機能を統合させるほか、コンプライアンス対応で必要となる電子証拠開示機能なども追加するという。
EMCジャパン 代表取締役社長の諸星俊男氏は、日本におけるECM分野の市場規模は世界の市場規模より小さいが、潜在ニーズは高いと見ており、「成長が見込まれる分野だ」としている。同社では、2007年よりDocumentumなどECM分野に専念するCM&A(コンテンツ管理&アーカイブ)部門を増強させており、人員も現在の20名体制から30名にまで増やす予定だ。また、パートナーに向けて製品情報を定期的に提供し、四半期に一度は無料トレーニングを行うなどして技術者を倍増させるとしている。パートナー企業も、2007年はじめの9社から、年内には15社にまで増やす。
こうした施策により、同社では2008年のDocumentum製品のライセンス販売目標額を現在の7億円から14億円まで倍増させたい考えだ。