ヴイエムウェアは11月9日、デスクトップ仮想化製品「VMware View 4」を発表した。新製品発表にあたってヴイエムウェア 代表取締役社長の三木泰雄氏は、「デスクトップ仮想化を導入することにより、ユーザー側の“いつでもどんな端末からでもデスクトップ環境にアクセスしたい”という要求と、IT管理者側のコストとコンプライアンスに対する課題解決という両者のニーズを満たすことができる」と述べている。
VMware View 4には、10月に開催されたヴイエムウェア主催のイベントでも示されていた通り、同社独自のデスクトップ転送プロトコルとなる「VMware View with PC over IP(PCoIP)」が搭載された。
PCoIPは、ネットワーク接続の遅延やバンド幅を自動的に分析するほか、ユーザーのデスクトップ上に表示されているコンテンツがテキストなのか動画なのかといった分析も行った上で、それぞれの状態に最適化してコンテンツを表示するプロトコルだ。PCoIPにより、「例えば動画とテキストを表示する場合、帯域が圧迫されている場合は動画の質を多少下げてでもテキスト表示の鮮明度を優先させるといったことが可能になる」と、ヴイエムウェア ストラテジックアライアンス テクニカルアライアンスマネージャーの名倉丈雄氏は説明する。PCoIPは、カナダのTeradiciが持つハードウェアベースでのデスクトップ転送プロトコルをソフトウェアベースで実装すべく、ヴイエムウェアがライセンスの提供を受けたものだ。
発表会場にて披露されたデモでは、まずローカルのPC環境とPCoIPを使った両環境で同じ動画を再生し、2つの動画がほぼ同じ状態で再生されている状況が映し出された。次にPCoIPとRDPを使った環境で同じ動画が再生されたが、RDP環境下では若干のコマ落ちが見られた。
PCoIP以外の機能としては、オーディオおよびビデオコンテンツ向けに最適化されたマルチメディア機能や各モニターの解像度を最適化する「VMware View Display」、仮想デスクトップとエンドユーザーのデバイスをシームレスに関連づけ、ローカルに接続されたUSB周辺機器を使用可能とする「VMware View Direct」、プリンタドライバをインストールすることなくローカルに接続されたプリンタを自動的に検出、接続できる「VMware View Printing」、VMware View環境はもちろん、Windows Terminal Server、ブレードPC、リモートの物理PCにも対応した単一認証アクセス機能の「VMware View Unified Access」などが備わっている。
調査会社アイ・ティ・アールでシニアアナリストを務める三浦竜樹氏は、「デスクトップ仮想化は、導入コストが高いということから普及が進まなかったが、リソースが効率的に利用できることや運用管理コストの削減が見込めることを考えるとTCO(総所有コスト)面でメリットが大きい。また、シンクライアントの弱点といわれてきたUSBデバイスのサポートや、動画、3Dグラフィックスの描画速度も改善されている」と述べ、今後さらにデスクトップ仮想化が進むだろうとした。
ヴイエムウェアの三木氏も、「IDCのレポートでも、すでにサーバの仮想化を導入していてデスクトップ仮想化が未導入の企業は検討を進めるべきだとのコメントがあった。ヴイエムウェアとしても、われわれのサーバ仮想化を利用している企業にはすべてデスクトップ仮想化を導入してもらいたいと考えている」と述べた。
VMware View 4は、Enterprise EditionとPremier Editionの2つのエディションで提供される。Enterprise Editionには、デスクトップ向けのVMware vSphere 4と、VMware vCenter 4、VMware View Manager 4が含まれ、市場予想価格は1同時接続あたり1万8000円。Premier Editionには、デスクトップ向けのVMware vSphere 4、VMware vCenter 4、VMware View Manager 4、VMware ThinApp 4、およびVMware View Composerが含まれ、市場予想価格は1同時接続あたり3万1000 円となっている。両エディション共に11月20日に販売が開始される。