ネット検索感覚で使えるBIツール--SAP、BO新版で他社製DBにも対応

大川淳

2009-11-11 22:31

 SAPジャパンは11月11日、ビジネスインテリジェンス(BI)ツール「SAP BusinessObjects Explorer」(BO Explorer)の新版を発表した。11月中に提供を開始する予定だ。検索機能を強化するとともに、直感的なウェブインターフェースを採用、多種多様なデータをさまざまな角度から分析できることが大きな特徴で、「SAP NetWeaver Business Warehouse」(NetWeaver BW)以外のデータソース処理も可能にする機能を搭載した。

 同社はBO Explorerを「ビジネスのためのオブジェクトをブラウザするためのツール」(同社バイスプレジデント ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部長 福田譲氏)と位置付けている。ネットの世界であれば、自由なキーワードで検索し、膨大なデータ群の中から即時的に答えが返ってくるという工程が、今やごく当たり前になっているが、「BIの分野では、それと同様のことができていなかった」と福田氏は指摘する。

福田譲氏 SAPジャパン バイスプレジデント ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部長の福田譲氏

 BO Explorerは、このような課題への解決策として用意される。数個の検索語を入力するだけで、さまざまなデータソースから最も関連性の高い情報を瞬時に検策できる。たとえば、ある企業が米国で販売するパソコンの利益率が下がっている場合、一般的な検索エンジンと同様なやり方で、検索窓に「パソコン アメリカ 利益」と入力すれば、関連データを探し出し、それらを豊富な表現形式で“見える化”する。これにより、「何が原因なのか見つけることができる」(福田氏)という。福田氏は「ビジネスアプリケーションと検索を融合させたことは大きな意味を持つ」と話す。

 検索の対象になるデータの源は、かつては、NetWeaver BWに限定されていたが、同社が“第2世代”と呼ぶ今回の新版では、ETL機能に相当する「Data Services」が加わったため、他社のデータベースをはじめとするデータソースにも対応できるようになった。

 福田氏は、従来のBIの課題として「ユーザーと話しても、見たい情報の切り口が出てこない」ことを挙げる。

 「企業は見える化を実現したいのだが、どのようなKPI(重要業績評価指標)で見たいか、どんな見せ方が良いか、などをわれわれが企業側に尋ねても、焦点がうまく見つからないことが多かった」

 そのため「いままでの帳票で良い」との結果になりがちだったという。また「BIツールが提供されても、あまり使われず、定型帳票の数や運用工数が減らない」ことも問題だった。

 BO Explorerでは、これらの実情を踏まえ、操作性の良さに注力したことから、ITにそれほど習熟していないユーザーでも、さまざまなデータにたどり着くことが可能になる。さらに定義変更の手間もかからない。「データが開放されるため、ユーザーは実際にこのツールを使うことで、データ活用の価値を体感できる」ことが、情報活用の意識を向上させ、情報活用の要件も明確化し、帳票への依存度も低減化できるとしている。

 BO Explorerは「Accelerated Version」と「Standalone Version」で構成。Acceleratedは、数億件を超える大容量データを扱い、高速処理する役割を担っており、Standaloneは、数百万件程度のデータを守備範囲としている。

 また同社は、モバイル向けの対応強化も考えており、iPhone上でBO Explorerとほぼ同じ水準の利用環境を実現できる「SAP BusinessObjects Explorer on iPhone」を近く発表する予定であることを明らかにした。

スクリーンショット 検索エンジンのように自由なキーワードで検索できる

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