富士通は2月22日、富士通システムソリューションズ(Fsol)とともに連結会計パッケージ「GLOVIA/SUPER COMPACT Pathfinder」をベースに国際会計基準(IFRS)対応機能を追加開発し、日本電波工業が導入したことを発表した。
IFRS早期適用企業は、初年度で日本基準との並行開示、初年度以降は注記情報による重要な際の開示が求められる。新たに追加されたIFRS対応機能では、日本基準とIFRSの2種類のデータを利用し、それぞれの基準に容易に組み替えられるという。両基準での差異を分析できることから、両基準に対応した連結財務諸表を効率的に作成できるとしている。
IFRSでは会計方針の変更や過去の財務諸表に誤りがあった場合、過去の財務諸表にさかのぼって変更や修正が必要となる(これを「過年度遡及修正」という)。IFRS対応機能は、現在の仕訳登録を過去の複数の遡及期間にわたって、自動的に反映することが可能になっているという。
またIFRSでは、日本基準と比較して多くの注記情報の開示が必要になるが、今回のIFRS対応機能では、関連帳票を充実させることで、注記情報の収集や開示資料の作成が効率的にできるとしている。またIFRS対応機能では、子会社間での照合差額の把握を、連結消去仕訳に直接反映させることで、内部取引データの照合作業を効率化して、親会社の作業軽減と決算作業期間の短縮ができるという。
水晶デバイス大手の日本電波工業は、アジアや欧州、米国などにビジネスを展開、半数以上のグループ会社が海外に拠点を置いている。同社は2002年3月期決算からIFRSによる財務諸表を英文の年次報告書で公表しており、海外金融市場からの資金調達を円滑に進められているという。国内の上場企業は、早ければ2015年からIFRSの強制適用が見込まれているが、2010年3月期からの任意適用が認められており、日本電波工業は、IFRSで情報開示する初めての日本企業になると見られている。
同社は現在、IFRSによる財務諸表を英文の年次報告書で公表する際に、国内グループ会社については、日本基準で財務諸表を作成して、手入力でIFRSに組み替えている。また、海外グループ会社でも同様に、IFRSで作成した財務諸表を手入力で日本基準に組み替えている。
今回の導入で、それぞれの基準に容易に組み替えるとともに、連結財務諸表作成の二重入力を削減できることから、作業の効率化を図られるとしている。また、これまで約90日かかっていた両基準の連結財務諸表作成を約30日で早期に作成することを目指しているという。
富士通は現在、企業のIFRS対応支援を展開、グループとしては今後、日本電波工業向けに開発したIFRS対応機能をGLOVIA/SUPER COMPACT Pathfinderに組み込んで、7月にIFRS早期適用版として提供するとしている。また2012年3月期に向けて、IFRSの制度改正に伴う機能追加を実施する予定としている。