ビジネスインテリジェンス(BI)を導入・活用すれば、さまざまなメリットを得られる。だが、ここで注意しなければならないのは、BIが分析・活用する際の対象となる“データ品質”である。
データの品質が高くないと、せっかく導入したBIで分析しても、期待通りの成果を得ることができない。つまり、ガートナー ジャパンでビジネスインテリジェンスを担当する主席アナリストの堀内秀明氏が指摘するように「不正確で整合性が取れず、古くなってしまったデータはもはや“資産”ではなく、“負債”と考えても間違いではない」(詳しくはホワイトペーパーを参照)。
何が「低品質なのか」
同じ企業内の同じ製品であっても、部署間あるいはシステム間で製品コードの体系が違っていたり、区分コードが違っていたりする。また、あるシステムでは売り上げを毎月20日締めで管理しているが、別のシステムでは月末締めで処理している。不正確で整合性が取れない、このようなデータが低品質のデータなのである。
また、誰の目にも明らかな「顧客」というデータでも、部署が違えば、その意味は変わってくる。法人向けに商品を販売するという状況において、営業部門にとっては、顧客企業の購買担当者であり、物流部門にとっては商品の送り先であり、経理部門にとっては請求書の発想先である。
データの品質が低いという問題の影響はBIだけにとどまらない。イベントの中で「低品質のデータ:取引を失い、監査人の注意を引く結果に」と題するセッションを担当した米Gartnerでリサーチ部門副社長を務めるTed Friedman氏(ビジネスインテリジェンス&データマネジメントソフトウェアグループ)が、低品質データに起因するコストをこう説明する。
ユーザー部門に問題
「低品質データは、たとえば財務部門で永遠に“適正な”予算が組めないという症状を引き起こし、予算超過という影響を及ぼす。サプライチェーンでは、“在庫切れ”という症状を引き起こし、総売上の減少や出荷費用の増加という影響を及ぼす」
さらにデータ品質の問題は、企業業績への影響にとどまらない。米の場合、米企業改革法(SOX法)というコンプライアンスにも及ぶからだ。
データ品質の重要性を説明するFriedman氏は、「データ品質の問題をIT部門の問題と理解すること自体が問題」と説明する。先に挙げた「顧客」の例にもあるように、データ品質はIT部門がテクノロジーで解決できる問題ではなく、本質的にはユーザー部門の方に問題があるのである。
権力を持たせる
このデータ品質という問題を解決するために、Friedman氏は「ユーザー部門とIT部門双方が協力する必要がある」と語る。具体的には「データ品質スポンサー」をリーダーとする組織(データ品質チーム)を企業内に構築すべきとFriedman氏は主張する。
データ品質スポンサーは全社的に指揮を取り、スポンサーの下に「データ品質エキスパート」「データ監督責任者」「データ品質アナリスト」などを置く。データ品質エキスパートは業務横断的に選出されるものであり、データ監督責任者は全主要部署から選出される。
「欧米の大企業では、これまでにデータ品質改善の努力をしており、データ品質スポンサーを配置してきた。しかし、スポンサーに資金やリソースを配分できるだけの権限や権力がないために、実際には企業内を変革できなかったケースもあった」(Friedman氏)
こうした現実を踏まえて、Friedman氏はスポンサーに権限や権力を持たせることが必要だと話す。もちろんデータ品質の維持・向上という課題は一朝一夕に解決できるものではなく、企業は「継続的な課題として取り組む」(Friedman氏)ことが大切だ。
アプリケーションとデータの“離反”
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