米国での金融危機を引き金に、世界は今、1920年代後半の世界恐慌以来の深刻な不況に陥っている、などと言われる。やれ「上場企業が倒産した」だの「売上が前年比で半減した」だの「数万人規模の人員整理が発表された」だの……。このところ、気持ちが沈むような話題には事欠かない。
こうした厳しい時代にあっても、企業は生き残っていかなくてはならないから大変だ。そのために事業や業務の内容を見直して、コストの削減に励んだり、時代に即したビジネスモデルへと修正を図ったり、新たな市場に参入したりといった活動を急ピッチで進めようとしている。
決してそれ自体は新しい考え方ではない「ビジネスプロセス・マネジメント(BPM)」が、今改めて注目を集めている理由は、どうやらこうした経済状況の中に隠されているらしいのだ。
今のところ、定義に「決定版」はナシ?
ところで、「BPM」という言葉を聞いたことはあっても、その定義をきちんと知ってていると胸を張って言える人はどのくらいいるだろうか? まずは、参考になりそうな資料に当たってみることにしよう。
まずは、BPMそのものズバリを名に冠する「日本BPM協会」のウェブサイトから。ここでは、BPMという言葉を、こう定義している。
……。ある程度、BPMについてかじったことがある人なら、この表現が意味するところをいろいろと想像もできるのだろうが、これからBPMを知ろうとする我々には、なかなか敷居が高く感じられる文章ではある。
気を取り直して、次は書籍に当たってみる。ITコンサルタントとして長年活躍している著者による「BPMがビジネスを変える-BPRを超える『業務プロセスの継続的改革』」(日経BP企画)では、BPMをこう定義している。
ITコンサルタントである著者の定義でもあり、先ほどの定義と比べると「ツールやシステムの活用」が前面に出た表現になっているが、その分、表現は多少分かりやすくなった。
次は、大学教授である著者が書いた、大学のテキストなどにも使われている書籍「BPM-ビジネスプロセス・マネジメント-みえる経営戦略、できる業務改革-」での定義である。
この書籍の内容はかなり高度だが、BPMそのものの定義はシンプルで分かりやすい。
ここまでに挙げた3つの定義から、共通する部分を整理すると、BPMとは、何らかの「目的」の下で「ビジネスプロセス」を「継続的に改善する」ことが肝であり、その実行に当たっては「ITを活用する」ことも重要な要素のひとつであると言えそうだ。
今回は3つの例を取り上げたが、実際のところ、「BPM」自体がまだまだ発展途上にあるようで、定義した人のバックグラウンドや所属、狙いなどによって、その内容は非常に多岐にわたっている。もし、BPMについて本格的に学ぼうとしているのであれば、なるべく多くのウェブサイトや書籍などを当たってみることをおすすめする。