Debian Live for PS3
一部のLinuxディストリビューションには「Live CD」といって、HDDにインストールすることなく、直接CD-ROM、DVD-ROMから起動して使えるものがある。メディアの容量制限から、利用できるパッケージは限定されるが、インストール作業なしに使えるため、いろんな環境で、極めて手軽にLinuxを試せる手段のひとつでもある。
最後に紹介する「Debian Live for PS3」は、yaegashi氏によって、「Debian Live」をベースに作成された、PS3用のDebian Liveである。これまで紹介した2つのディストリビューションでは、インストール時にそれぞれ約1時間程度の待ち時間が発生したが、このDebian Live for PS3では、その時間が必要ない。とにかく手軽にPS3でLinuxを試してみたいという人には、特にオススメだ。
1.Debian Live for PS3のCD-ROMを作成する
yaegashi氏が公開しているDebian Liveのイメージ配布サイト(http://ps3.keshi.org/debian-live/)で、最新版のISOイメージを入手する。筆者は、最新版の「debian-live-ps3pf-20070114.iso」を利用した。PCのCDライティングソフトなどで、イメージをCD-Rなどに書き込んでおく。
2.PS3 HDDのフォーマットとブートローダーのインストール
Yellow Dog Linuxの項の手順2を参考に、PS3 HDDのフォーマットを行い、fedora 8の項の手順3を参考に、「PS3 Linux Distributor's Starter Kit」から最新のブートローダーをインストールしておく。
これらの作業が終わったら、CDを手順1で作成したDebian Live for PS3のものに入れ替え、優先起動システムを「他のシステム」に設定して、再起動する。
3.Debian Live for PS3の起動
「kboot:」のプロンプトが表示されたら、「live」と入力してEnterを押すことにより、Debian Liveが起動する。
なお、起動時のコマンドやパラメーターは複数用意されており、yaegashi氏によってWikiにまとめられている(http://www.keshi.org/moin/moin.cgi/PS3/Debian/Live)。ここを参考に、たとえば、kboot:で「yuv1080p locale=ja_JP.UTF-8 keyb=jp106」として起動すると、画面モードは1080p、かつ日本語配列の106キーボードで日本語GNOMEデスクトップ環境で利用できるようになる。
利用したISOイメージは、GNOMEデスクトップとFirefoxという最小限のシンプルな構成だ。イメージにはPS3向けのDebian-Installerも含まれているので、このCDからHDDへDebianをインストールすることもできる。この場合、インストール時間も前出の2つに比べると短く済む。
このDebian Live for PS3については、yaegashi氏の手によりソースコードや依存パッケージリポジトリなどが公開されている。そのため、腕に覚えのある人ならば、お気に入りのパッケージが含まれる独自のPS3用Debian Live CDを作ることも可能になっている。
スタートは非常にお手軽だが、深くつっこめばいろいろと遊べる要素が含まれる点で、「とりあえず派」の人も「ゴリゴリハック派」の人も楽しめるだろう。