たかが帳票、されど帳票
ウイングアークの核となるソリューションはこのSVF、Dr.SumEA、そしてStraForm-Xの3つだが、実はその周辺にさまざまなツールやソリューション、そしてこれを有機的に結びつけるコンセプトがある。谷口氏はこう言う。
「帳票の様式でいえば伝票から始まって請求書、受注書、見積書、申請書、そして工程表、成績書、提案書のようにその種類が増えています。表現力についても、当初はプログラムレスという要求だったものが、もっと速く、さらにカラーで、そしてウェブ対応、PDF対応、セキュリティ向上というように拡大しています。ツール活用のニーズも当初は担当者の作業効率化というレベルだったものが、システム統合に合わせた帳票の基盤化、会社や企業間での帳票機能の共有化、全社的な標準化という形で拡大しています。これらをカバーするのが、標準技術のXMLに対応する帳票開発設計ツールの“SVFX-Designer”です」
さらに谷口氏は「紙に出力するのか、電子的に出すのかという違いはあっても帳票という概念は消えることはありません」と断言する。EDIや電子商取引といった手段が普及しても、企業が顧客や取引先を持ち、社内に企業の機能を司る部門がある限り、帳票は必要。ウェブであるのか紙であるのか、またトヨタのカンバン方式なのかは問わず、帳票は情報の伝達手段であり、部門と人の動きは帳票が指示している。製造業では製造指図書などにバーコードが組み込まれ、それによって作業が進んだりするが、しかし帳票という仕組みに基づいていることは、基本的に変わっていない。
基幹ソリューションであるSVFの導入企業が1万5000社ということからも、企業からの評価も高い。たとえば、運輸大手の西濃運輸では、SVFを中心に物流センターでの帳票データの一元管理と帳票の電子化に取り組んでいる。帳票システムをひとつに統合したことで帳票開発を独立させてその生産性とメンテナンス性の向上を図っているのである。
実は、ウイングアークの帳票総合スプールサーバ「Report Director Enterprise(RDE)」を使うと、特定のプリンタに依存せず、ネットワークに負荷をかけない大量帳票出力が可能になる。これによって、単純にメインフレーム系の高価なプリンタを削減でき、数千万円というコスト削減を実現することも可能だ。西濃運輸でも、これまで月間40万〜50万件配送していた請求書類を電子化することで、印刷代や郵送料が削減、大きなコスト削減を実現できたとしている。
また、ヤクルト本社では、SVFで業務に共通する帳票出力の共通化を実現、ペーパーレス化とともに、必要なデータがいつでも参照、分析できる環境を構築。同社は「電子帳票化により印刷のための紙代や配送費、管理費などのコストが削減できたが、それ以上に業務効率の向上が期待できる」とコメントしている。
“たかが帳票、されど帳票”なのである。