エンバカデロ、「ER/Studio XE 日本語版」--管理効率化でコスト最適化

大川淳

2010-12-01 10:52

 エンバカデロ・テクノロジーズは、データモデリングツールの新版「Embarcadero ER/Studio XE日本語版」を発表した。今回の最新版では、クラウド技術を活用して、ツールの供給やライセンスを管理できる「Embarcadero ToolCloud」を備えた。また、データベースサポートを拡張し、新たにNetezzaにも対応した。12月中旬から出荷を開始する。

 ER/Studio XEは、データベースとアプリケーションの分析、可視化、コミュニケーションを支援するモデリングソリューションだ。既存のデータベースからのリバースエンジニアリング、分析、最適化などを実行でき、データ設計の標準化と品質向上、生産性向上を図ることができる。

 今回の最新版では、対応データベースをさらに拡張しており、Oracle Database、IBM DB2、Sybase、Microsoft SQL Server、InterBase、Teradata、MySQL、PostgreSQL、Hitachi HiRDBなど主要なデータベースプラットフォームに加え、Netezza 4.6および同5.0に対応した。データベースから直接スキーマ情報を取得して物理/論理モデルを作成し、変更を複数のプラットフォームのデータベースに反映させることができる。

 OSは、32ビット版および64ビット版のWindows 7を新たにサポートした。従来のWindows XP、Windows Vistaにも対応している。

 この最新版の目玉といえる「Embarcadero ToolCloud」は、企業内のイントラネット環境に製品の供給とライセンス管理を担うサーバを設け、管理を集中化、効率化することを目指す機能だ。管理者は、ライセンス管理を一元化することで不正使用を防止できるとともに、余剰ライセンスを有効に再利用することができるためコストの最適化も図ることができる。また、エンドユーザーは、同一製品の複数バージョンにアクセスできるため、業務に必要なツールを迅速に利用できるようになる。

 この機能により、企業は内部で効率的にライセンスを割り当てて、ツールを利用することが可能になる。従来、開発プロジェクトでは、プロジェクトごとにツールを導入することが通例で、その結果、プロジェクトが終了しても使用されないライセンスがそのまま残ってしまったり、ライセンスの使用状況を把握するのに時間とコストがかっていた。

藤井等氏 エンバカデロ・テクノロジーズ 日本法人代表 藤井等氏

 エンバカデロ・テクノロジーズ 日本法人代表 藤井等氏は「ToolCloudのライセンス一元的管理の実現により、企業は保有しているライセンスをプロジェクトに割り当て、終了後に別プロジェクト用に再割り当てできるため、ライセンスの利用を最適化し、追加のコストを抑えることができる」と話す。

 ToolCloudは、基本的にはサーバから各種ツールを供給する形式だが、いわば「ソフトの貸し出し」が可能で、一時的なオフラインでの使用もできる。また、USBメモリなどを用い、完全なオフライン環境でも使用できるなど、多様な使用形態を用意している。

ジェイソン・ティレ氏 ジェイソン・ティレ氏

 データ設計の需要は、従来のRDBMSからデータウェアハウスにも及び、さらに幅広くなってきた。Embarcadero Technologiesでモデリング/設計ソリューション担当ディレクターを務めるジェイソン・ティレ氏は、「企業の扱うデータは急激に増加している。それに伴い、データ分析を必要とする人々も増える。分析は、戦略上というよりオペレーション上でも求められていている」と語る。

 今回、ER/Studio XEはNetezzaをサポートし、今後もより広いプラットフォームに対応する意向。藤井氏は「今後、クラスプラットフォームが重要になる。企業の買収合併が増え、複数システムの連携が求められる。企業内でも、部署を横断したシステム利用が多くなっている」と指摘、クラスプラットフォーム対応やToolCloudを軸に、多様化する需要に対処していくことで、販売を拡大させる考えを示した。

 ER/Studioには、目的別に4つの製品エディションが用意されている。「ER/Studio XE」は、プロセスモデリングからデータモデリング、アプリケーションモデリングまでを担い、マルチプラットフォームデータベースをサポートする。ToolCloudを標準搭載し、組織全体に渡ってモデルやメタデータを共有することができる。価格は96万円(税別)から。

 「ER/Studio Enterprise」は、単一プラットフォーム向けのモデリングソリューションで、プロセスモデリングからデータモデリング、アプリケーションモデリングまでをカバーしている。価格は26万円(同)から。

 「ER/Studio Data Architect」は、データモデリングをサポートしており、接続できるデータベースの種類に応じて、単一プラットフォーム版とマルチプラットフォーム版を用意している。価格は18万円(同)から。

 「ER/Studio Business Architect」は、BPMNに準拠したプロセス/概念モデリングツール。価格は14万円(同)から。

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