複数サービスの連携と新たなPaaSの提供も
ただし、Google側はGoogle Apps for Businessの販売好調に満足せず、「今後はもっと大きな枠組みで、様々なサービスとの連携によってより利便性の高い提案を進めることを目指す」という。Enterprise Search、Earth&Mapsといったサービスの連携によって、新しいバリューを生むことを目指す。
Google Apps for Businessについても、「機能についてはカウントのしかたにもよるが、数百の機能や追加サービスがある。使っていない機能や追加サービスを利用することで、より価値のあるサービスとなる」と話す。
具体的にはGoogleドライブを使った情報共有提案や、データ保全や電子情報開示に対応するための機能であるGoogle Apps Vaultを導入することで訴訟対策をするなど、より深いGoogle Apps for Businessの利用方法をアピールする。
Google Apps以外のサービスについても、導入企業を増やすために提案していく。
例えば、2011年に提供を開始したEnterprise Searchの拡張機能である「Google Commerce Search」。すでに通信販売を行うディノス、書店である紀伊國屋書店のオンライン販売サイトなどに導入した。Commerce Searchには、目的の製品を素早く見つけるための機能や検索結果と共に在庫状況を表示する機能などを持つ。こうした機能がオンラインサイトを運営する事業者に評価されたことで、サービス開始後、すぐに導入につながった。
今後は「Commerce Searchを実店舗を運営する企業が導入することで、欲しい商品の在庫がある店舗を表示し、その店舗に誘導することが可能となる。さらに、そこにGoogle Maps API Premiereを組み合わせて利用することで、欲しい商品がどこにあるのか店舗地図も含めて表示できるようになる。オンラインサービスが購買可能性の高い顧客を呼び込むことにつながる。このように複数サービスの連動によって実現する付加価値実現を呼びかける」と複数サービスの連動を提案する計画だ。
これまで「Google App Engine」のみを提供していたPaaS分野も強化する。Google Earth Builderは企業や自治体などが保有している地図データをGoogleのクラウド上に置くことで、エンドユーザーが利用できるようにするサービスだ。
「災害の際に自治体がこれを利用することで、エンドユーザーが地図で通行できる道を確認するといった利用が考えられる。当社のクラウドをインフラとして利用することで、災害時のBCP対策としての利用が可能となる。Google Earth Builderだけなら、SaaSに分類するものかもしれないが、クラウド込みで提供することでプラットフォーム、PaaSとして提供する。企業向けということでSLA(service level agreement)をつける予定だ」
ビッグデータについても、Google Earth、Googleドキュメント、クラウドなどをセットで提供することで、「通常、企業がビッグデータの解析システムを導入する際にはストレージの購入から始めなければいけないが、当社のサービスを利用すればストレージも含めて、全てクラウドサービスの購入で済む」と話す。
さらに、昨今の焦点の1つであるスマートフォンなどモバイルとの連携についても、100%Webサービスベースのプロトコルで構築されたGoogleのサービスは対応しやすいことも大きな強みとなる。
このように、ハードウェアを含めてシステム販売を行うコンピュータベンダーとは大きく異なるアプローチが、Googleのエンタープライズビジネス最大の特徴といえる。