大元隆志のワークシフト論

未知の体験は広告では伝わらない--「ハッカソン」が注目される理由(後編) - (page 3)

大元隆志(ITビジネスアナリスト)

2014-05-20 07:30

ハッカソン成功に欠かせないもの

 KDDIウェブコミュニケーションズへの取材では、ハッカソンをマーケティング施策に応用していることがうかがえた。海外では、ウェアラブルコンピュータなど「市場が存在しない」製品では、ハッカソンを開催して、活用方法をコミュニティと一緒に考えるという取り組みは当たり前のようにある。

 ウェアラブルコンピュータやモノのインターネット(IoT)関連の製品やソフトで成功を夢見る企業は少なくないだろう。「どれ、ウチもハッカソンとやらをやってみるか」とマイルストーンに「ハッカソン開催」と書くかもしれない。

 しかし、マイルストーンに「ハッカソン」と書くのは誰でもできる。大切なことはそれを実行できる「人材」が存在することだ。

 KDDIウェブコミュニケーションズの取材でもっとも印象深かったことは、エバンジェリストの話を聞いていた時だ。「本当に彼はTwilioを愛してますね」と語る小出氏の言葉に社交辞令の雰囲気は感じられなかった。心からエバンジェリストの仕事を評価している、そう感じられたからだ。

 実行できる人材と、実行することの難しさを理解し、それを評価することができる上司。企業でハッカソンを成功するにはこの2つが欠かせない要素になるだろう。

大元隆志
通信事業者のインフラ設計、提案、企画を13年経験。異なるレイヤの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。『ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦』など著書多数。

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