障害回避や省エネ効果を将来にわたって享受
では、DCIMシステムはいかにして、継続的にデータセンターを育てるのに役立てられるのか。データセンターの典型的な増強および改善シーンとして、IT機器の追加とIT機器の電力制御、そして空調の電源制御の3つの例について見ていこう。
(1)IT機器追加時のエアフローシミュレーション
データセンターでは、サーバの追加やラックの追加が日常的に行われている。ところが、データセンター内にスペースの余裕があるといっても、むやみにサーバやラックを増設すると、当初の設計で最適化していた室内の空気の流れが変わってしまい、熱だまりが生じかねない。
データセンター全体のレイアウトを忠実に再現したDCIMシステムは、すべてのラックに供給可能な冷却能力を3次元グラフィックスで表示し、IT機器の追加がエアフローにおよぼす影響の有無や大きさを事前に検証。熱だまりによる障害の発生を回避できる。
(2)IT機器の電力制御による継続的な電力消費量の最適化
最近は何台もの物理サーバのリソースを仮想化して、複数のシステムを仮想マシンで動かす企業が増えている。こうしたケースでは、各システムの業務処理量が少ないのに仮想サーバが異なる物理サーバに分散していると、結局はすべてのサーバに電力を供給しなければならないため効率が悪い。
そうしたケースでDCIMシステムは、利用率の低い物理サーバを検出したうえで、その物理サーバ上で稼働している仮想マシンを数台の物理サーバに統合。稼働する仮想マシンがなくなった物理サーバに対するPDUからの給電を最小限に抑える仕組みを持っている。この仕組みを使えば、データセンターの規模が大きくなっても、電力消費量を将来にわたって最適化できるばかりでなく、既存のサーバリソースの一層の有効利用を推進できる。