“行動を起こしそうな層”を抽出しCRMと掛け合わせる
Yahoo! DMPのもう1つの優位性は、ヤフーが持つビッグデータ活用による高度なセグメント分類だという。
従来のオンラインメデイアのターゲティングは、年齢、性別、年収など、同じ属性を持つユーザーを抽出していた。しかし最近では、価値観や興味関心、行動の類似性によるセグメントが注目されている。米Twitterではユーザーの興味関心やツイート内容に基づいてターゲティングを行い、特定のキーワードをツイート/リツイートしたユーザーに対しアプローチする「キーワードターゲティング」を実施している。
例えば、旅行会社が潜在顧客にアプローチする場合、サイト内で旅行に関する情報を収集している人をターゲットとする。そのためにはユーザーの検索キーワードやサイトの閲覧履歴を基に独自のモデリング技術でユーザー行動の法則を解析し、「購買しそうな層」や「行動を起こしそうな層」を抽出する。
こうした予測分析は、属性抽出だけでも、また企業が所有するデータだけでは実行できない」と説明する。なお、Yahoo! DMPの行動属性のセグメントは、数千分類にも及ぶという。こうして抽出したセグメントと企業が持つデータとを掛け合わせることで、“粒度の細かいターゲティング”が可能になるというわけだ。
高田氏は、「Yahoo! DMPは、平たく言えばCRMとの掛け合わせサービスだ。現在、企業では、CRMと広告(宣伝)は分離しているが、それでは、的確なターゲティングはできない」と指摘する。その理由は、企業内において両者を管轄する部署が異なる、いわゆる組織のサイロ化が原因だという。「マーケティングプランで提案した内容をコールセンターに情報が共有されておらず、社内が混乱するケースは多い。本来、購買履歴や利用状況などによって広告のアプローチは変更すべき」というのが、高田氏の主張である。
ヤフーは2014年10月クラウド型CRMを販売する「シナジーマーケティング」を買収した。高田氏は同社買収の意図について、「CRMと広告とを密に連携させ、ソリューションとして提供するため」と説明する。とはいえ、ヤフーは企業のCRMリプレースを狙っているではないと強調する。
「あくまでシナジーマーケティングのCRMも、ソリューションのひとつだ。われわれはYahoo! DMPをオープンにしたい」とその戦略を語る。
後編に続く。