アンビエントコンピューティング
IoTがビジネスの世界にもたらすと約束してきたさまざまな影響は、最近になってようやく実現し始めたところだ。同報告書は「アンビエントコンピューティング:IoTを機能させるもの」と題したセクションで、企業へのIoTの導入でどのような準備が可能かを考察している。
「モノ」や捕捉可能なデータはいずれも進化を続けている。この事実は、IoTの実装まわりの戦略立案が重要であり、その戦略に集中すべきであることを意味している。
同報告書には「IoTをゴールにすべきではない。ゴールは慎重に選択され、特定の目的に沿って配備された何らかのネットワークであるべきだ。機会は業界や地理的境界を越えてあふれている、すなわち都市やコミュニティー、製造分野、小売り分野、ヘルスケア分野、保険分野、石油ガス分野がつながりあうのだ」と記されている。
IoTとそれによって収集されるデータは、対応した行動を取ることでのみ真価を発揮する。IT部門のリーダーにとってアナリティクスは、自社のIoT実装からの洞察を得て、その洞察に従った行動を採るための欠かせないツールとなる。例えば、配達経路におけるリソースの無駄をどれだけセンサが検出したとしても、配達ルートの変更をしなければ何の改善にもならないはずだ。
最終的にあらゆるものにIPアドレスが割り当てられるという発想は、かつては冗談であったが、現実になりつつあるとAugustin氏は語っている。これは、一部のコンシューマー機器では明確に現れているが、企業における状況は少し異なっている。
Augustin氏は「こういったものから価値をほとんど得られないビジネスもあるだろう」と述べたうえで、「しかしそれ以外のビジネス、例えば実際の商品を頻繁にやり取りするビジネスにとっては、大きなメリットが生み出されるはずだ。病院において、処方した薬の量を毎回自動的に確認するような例を想像すれば、すぐに分かるはずだ。また、小売店においては在庫を即座に把握できるようになる」と語っている。
このようなアンビエントコンピューティングは、パターンや振る舞いを予測した後、改善に導くという用途にも使用できる。Deloitteの報告書ではデータの収集や分析に加えて、企業がIoT戦略を実装した際によく出てくる、大量データを取り扱うためのデータストレージという考えにも格段の注意を払っている。