セキュリティの論点

情報セキュリティから見たマイナンバー(前編)--メリットとリスクを考える - (page 4)

中山貴禎

2015-05-18 07:00

 2016年1月からすぐ実行する必要がありそうな処理は源泉徴収票(もし中途退職者が出れば記載しなくてはならない)、雇用保険辺りでしょうが、正確な情報は必ず国税庁厚生労働省の両ウェブサイトを随時ご確認下さい。

 そこで、10月の時点から行っておいた方がよい作業として、自社の法人マイナンバーを公開すること、そして従業員とその扶養家族全員分の個人マイナンバーの収集準備を整え、それが済み次第、実際の収集を開始することが挙げられます。

 法人マイナンバーは、自社で用いるだけではなく、例えば法定調書を税務署に提出する際に支払先が法人であれば、その支払先の法人マイナンバーを書面に記載しなくてはいけません。

 このように取引先の法人マイナンバーが分からないと非常に困る場面が想定されますので、取引先など関係各社には事前に、かつ相互に法人マイナンバーを通知しておく必要性があります。実運用が開始される前に自社ウェブサイトに掲載するなどの手段で外部へ公開しておく方が、都度対応の手間や抜けが出る恐れなど考慮すれば現実的な手法だと思います。

 また、個人マイナンバーの収集は、そう簡単な話ではありません。会社の総務部や人事部が従業員やその扶養家族の個人マイナンバーを収集する際には、ノーチェックでの単純な収集ではなく「確実な、嘘や誤りのない個人マイナンバー」を入手する手法で実施する必要があります。

 担当部署が自前で用意した提出書類に自己申告で番号を書かせて、それをただ受け取るだけ、などというフローは許されないのです。

 後編では今企業が個人マイナンバーを取り扱う上での主な課題を挙げ、より実際的な運用体制や、考慮すべき管理体制を解説します。

中山貴禎
自動車や広告、セキュリティ業界とさまざまな業界を渡り歩き、2015年4月より株式会社アズジェントに勤務、セキュリティサービス部長とエバンジェリストの二足の草鞋を履く。エバンジェリストとしては広く一般に出来る限りの分かりやすさと偏らない視点に注力し活動している。

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