Fox-Martin氏は次のように述べている。「現在、当社の戦略は、SAPをSAP HANAを原動力としたクラウド企業に変えることだ。アジア地域の企業はデジタルへの移行を進めており、デジタル革命のプラットフォームとして、クラウドを利用することが多くなるだろう」
アジア太平洋地域ではSMB戦略が「まとまっていない」
アジア太平洋地域では、クラウドへの関心が高く、「SAP HANA Enterprise Cloud」の成長が見られるとPezzini氏は述べた。
同氏はさらに、SAPはローエンドのオンプレミスERP製品「Business One」でSMB分野に成功してきたと述べた。しかし、SaaS型ERPの「SAP Business ByDesign」は「苦戦している」ようだとGartnerのアナリストPezzini氏は指摘している。
「また、中国で導入された新製品『SAP Anywhere』は、CRMやEコマース、ERPといった広範なアプリのユースケースに向けたSAPの主力SMBクラウド製品となるよう考えられていた」と同氏は述べた。「Anywhereはこれまでに中国でそれなりの数の顧客を獲得しているが、現時点ではまだこの地域のすべての国で利用できるわけではなく、限られた機能セットのみを提供している。したがって、その影響は限定的だ」(同氏)
それでも同氏は、SAPが2016年からSMBのクラウドサービス市場でこの製品を売り込む意向を示していたと述べている。
同氏はさらに、SAPはSMB戦略を明確にする必要があり、それがこの地域での成功に不可欠であることは明らかだと述べた。この分野に関する現在のSAPのアプローチは、Business One、All-in-One、Business ByDesign、Anywhereといった多様な製品を抱えており「非常にまとまりがない」とPezzini氏は述べた。
しかし、SAPはSMB市場での成長に「満足している」とLeukert氏は述べた。SAPは現在世界に5万のSMB顧客を擁しているとし、このエンタープライズ分野は、顧客数では最も急速に成長しており、前年と比べて新規顧客が5000件増加していることを明らかにした。
SAPはまずクラウドの需要とSMB企業数の大きい市場に入っていくことに決めたと同氏は説明した。つまり、今はアジアの中では中国市場向けに提供すべきということだ。
「これは単に、市場機会に基づいて当社のリソースを賢く割り当てるということだ」と同氏は述べ、SAPはこれまでに、中国で非常に多くのAnywhere顧客を獲得しており、リリース当日だけでも多数がサービスの契約をしたと述べた。
本記事の著者Eileen Yuは、シンガポールを拠点としているが、SAPより招待を受け、ドイツのフランクフルトで開催されたSAP HANA Forumから米ZDNet向けに報告した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。